2013年2月20日水曜日

『輝天炎上』海堂尊

海堂尊の最新作、『輝天炎上』
これまでの海堂作品でもちょくちょく登場してた天馬大吉(てんまだいきち)が大活躍するストーリーだけど、前半ものすごく目立ってたのは、天馬よりも冷泉深雪(れいせんみゆき)。「れいぜい」ではなく「れいせん」であることを強調したがる女の子。
前半で魅了された冷泉の出番が、後半それほど多くなかったことが残念だなぁと思うけど、面白い小説だった。過去の色んな海堂作品のことを思い出して、懐かしいなぁと感じたり。また、色々読み返したくなった。

ストーリーの核となるのは、『螺鈿迷宮』で崩壊が描かれた碧翠院桜宮病院の跡地に建てられることになったAiセンターの末路。『ケルベロスの肖像』を違う視点から見せる作品であるとともに、より詳細に作られた物語になってる。

海堂尊の作品は、割と重いテーマを扱っているもののテンポよく読めるから、今の日本の医療がどうなっているのかっていう部分が分かりやすかったりする。監察医制度のあたりなんかはもっと自分で調べてみたいと思ったりもする。
医学、医療について勉強しようと思えたことが、彼の作品に出会ってもっとも良かったことだと自分では思ってる。
今まで、ただ難易度が高い、ステータスのためだけに医学部に進学しようとしてる人たちを目の当たりにしてきて、医学に対して嫌悪感を持ってたりするけど、医学に対して真面目に向き合ってる人もいるんだっていうことを知ることが出来た。
中学生の頃は自分も医者になりたいと思ってたけど、当時の感覚を思い出すことが出来た。

賛否両論あったりもするけど、海堂尊の作品は全部お勧めしたい。