2015年7月30日木曜日

『三国志 8』宮城谷昌光

三国志、中盤戦も終わりの第8巻。

関羽、劉備、曹操が立て続けに逝ってしまう。

よく知られている三国志に欠かせないメンバーが死んでしまって、蜀は劉禅が皇帝となり、実質のトップは諸葛孔明になった。魏は曹丕が皇帝になった。

それぞれの国の思惑がすべて描かれてるから面白い。

2015年6月30日火曜日

(再読)『赤緑黒白』森博嗣

Vシリーズ10作目、最終作だ。

Gシリーズにも絡んでくるMNIっていう謎の組織も登場するし、真賀田四季もチラッと登場する。
この作品とS&Mシリーズを通して読むと、VシリーズがS&Mシリーズよりも数十年過去の話だっていうことが分かる。
真賀田博士がまだ5,6歳だ。でも、十分天才として世間ではもてはやされてるんだから凄い。

犯人は、今までで一番厄介な相手だけど、一番、瀬在丸紅子に似てる。
外からは全然分からないけど、本人が言うには似てるらしい。

殺したいから殺すっていうのは、分からなくはない。

(再読)『朽ちる散る落ちる』森博嗣

Vシリーズ9作目。

『六人の超音波科学者』の舞台になった円形の建物。あの建物の秘密が暴かれる。
そして、練無が女装をするきっかけになった纐纈さんが絡んでくる。

地下に、高エネルギー加速器のように、建物の中心を軸として回転する空間がある。
建物そのものが円形だっていうのがポイントだったらしい。

遠心力で飛ばされることを、落下する、という風に表現してたのが言い得て妙だった。確かに、遠心力掛かってたら、その力による変化は、中にいる人によっては落下と同じだろうなぁ。

最後のオチが良かった。

(再読)『捩れ屋敷の利鈍』森博嗣

Vシリーズ8作目。

今回の作品にはS&Mシリーズの西之園萌絵が出てくる。
出てくるんだけど・・・なんかおかしい。ちょっとした違和感を感じる。

その理由は、森博嗣の作品を読み続けていくと、四季シリーズあたりで明らかになるんだけど、またそれは別のお話。

六人の超音波科学者で登場する建物も面倒くさいなぁと思ったけど、この作品の建物は、それ以上に面倒くさい。

メビウスの帯のように、捻れてる。
馬鹿げた建物だけど、建築基準法違反だから、家じゃなくて作品なんだっていう家主の理屈がまた滑稽だ。
こういう建物、実際にあったら面白いだろうなぁ。

(再読)『六人の超音波科学者』森博嗣

森博嗣のVシリーズ7作目。

変わった、凝った作りの建物が舞台だ。

陸の孤島・・・に近いくらいアクセス困難な舞台で、殺人事件が発生。
瀬在丸紅子が解き明かす謎が衝撃的だった。
そして、その動機も。
正当な殺人は許せても、不本意な行為については、たとえ結果として死に至ることがなかったとしても、許されて良いことではない、という紅子の理屈。なんとなくだけど、納得できた。

保呂草が、七夏の前で鍵開けのスキルを披露したのが面白かった。自分の身を守るよりも人助けを優先したっていうことなんだろうなぁ。

『三国志 7』宮城谷昌光

周瑜が死んだ。
案外あっけなかった。割と重要人物なのに、死んだっていう描写はたった数行で終わってた。
このあたりは、宮城谷昌光の作品っぽい。
淡々としてる。

劉備が、だいぶ非情な存在として描かれてるのが面白い。
三国志をきちんと読むのは、すべての作家を通して初めてだけど、今まで見聞きしてきた情報だと、もう少ししっかりしてる印象を持ってた。
逃げ足が早くて、息子がさらわれても気にしないだろう、という描写があったりして、なるほどなぁと。

8巻では、劉備、関羽、曹操が死ぬようだ。
早速読んでみよう。

2015年5月31日日曜日

『三国志 6』宮城谷昌光

折り返し地点の第6巻。
ほかの本読んでたから、三国志を読むのは久々だった。

この巻には、劉備が孔明を訪れるところや、赤壁の戦いが描かれてる。
相変わらずのんびりしている劉備を尻目に、孔明が対策を立てて、劉備、孫権、曹操の三者の対立構造を実現しようとしている。

曹操は、後継者を誰にするか、というところでも悩み始める、といった記述で巻の最後は終わっている。
三国志全体から見れば、ひとつの山場を越えた、という感じなのだろうか。
正直なところ、劉備の良さがまだまだ出てきていない。というか、自分には見えない。この後、どういう動きをするのか楽しみだ。

2015年5月29日金曜日

『女王はかえらない』降田天

『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作品。

読後の感想・・・『葉桜の季節に君を想うということ』に似てる。
たぶん、このストーリーの内容は、この一言があれば事足りるような気がしてる。

非常に面白かった。
面白かったんだけど、あっけなくもあった。
もしかしたら・・・みたいに思ってたことが、その通りだったっていうことが分かって、期待が裏切られなかったことにちょっとだけショックを受けた。

この手のトリック、記述の仕方に出会ったことがなければ、より楽しめる作品にはなってるんだと思う。

設定の中には、少々強引じゃないか、と思うのようなものも正直ある。一人称が「ぼく」だったり、登場人物が全員アダ名だったりカタカナ表記だったり・・・
気になり始めたら、トリックに辿り着くまではあと一歩だ。

小学校のスクールカーストなどが取り上げられてて、クラスの女王様的存在のマキに、転校生のエリカというライバルが出現するところからストーリーは始まる。
マキについていけないと感じ始めた人々が、徐々に、エリカ側に付き始めて、やがて、クラスはマキグループとエリカグループに分断される。
そんなマキとエリカの確執がきっかけとなり、事件が起こる。

結末は、本当に衝撃的だった。
小学生が、こんなことして良いのか、という・・・
怖い小説だった。

仲の良い人には、勧めてみたいなぁと思う。

2015年5月22日金曜日

『おまえさん』宮部みゆき


そこそこの長編だったけど、全然長さが気にならないくらい面白かった。
とは残念ながら言えず、信之輔のせいで、途中、非常にイライラした。

帯に、「これは、恋愛小説です」と書かれていて、どんな感じの内容なのか、非常に楽しみだったんだけど、確かに、恋愛がキーワードになってた。

おでこの生みの親や、夜鷹や、生薬屋の娘に、同心・間島信之輔。たくさんの人々の恋愛話を聞かされて、非常に疲れた。

でも、そんな中でも弓之助、やっぱり揺らぐことなく、バシッと謎解きを実行。
『ぼんくら』、『日暮らし』ときて3作めのこのシリーズ。もはや弓之助は名探偵だ。
頭が切れる少年とかいうレベルを超えて、完全に、謎解きを期待される役回りになってる。
この年で、この役回りは辛いだろうなぁと思いつつ、やっぱり読者の立場で、弓之助の活躍を期待してたりもする。

弓之助は言った。

「世の中に起こるすべての出来事が、仮に因果の糸――因果律で結びついているとするならば、物事の見え方が変わってくるということでございます」

「本音なんて、みんな幻でございますよ」

因果律の話はなんとなく理解は出来たけど、本音は幻だとか言われると、なんだかなぁ、夢も希望もない。

間島信之輔の縁戚、本宮源右衛門の発言も紹介。
「何をどうしたらいいかわからぬときは、学問するのが一番よろしい」
悩める青少年に伝えたいメッセージだ。
そして、私自身にも身に覚えがあるメッセージだった。

平四郎は、弓之助を評して

「講釈師、見てきたような嘘をつき」

と言っているが、私も、そのくらいリアリティのある話作りが出来れば、自分の小説家という目標も、近い将来実現できるんだろうなぁと思う。


ひとまず、ぼんくらシリーズは全て読み終わったということで、続編の発売を期待しよう。



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おまえさん 上

おまえさん 下

2015年5月10日日曜日

『暗殺教室 14』松井優征

いよいよ文化祭当日。

スポンサーを付けたA組に対して、山の幸を味方に付けたE組。
A組には及ばなかったけれど、E組は大健闘したと思う。
材料がなくなって、更に山から食材を調達してこようとする生徒たちに、殺せんせーは、「これ以上採ると山の生態系を崩しかねない」と諭す。
勝負よりも大切なことがあるっていうことを教えると同時に、全ての生き物が、他の生き物との縁によって活かされてるんだ、ということを教えている。

文化祭が終わると、いよいよ2学期の期末テストの季節だ。
3学期の学年末は、高校を一般受験するE組と内部進学するA組では試験内容が大きく異なり、同じ土俵で勝負出来るのは今回が最後だ。

よくもまぁ、どんぞこからここまで這い上がれたものだと感心する。
勉強っていうのは、教える側よりも教わる側の姿勢のほうが大切だと思うけれど、やはり指導者も大切だっていうことを認めなければいけないと思う。

体心立方格子についての数学の試験問題が面白かった。
解説としては漫画の内容で良いと思うけれど、実際に試験で記述することを考えると、もう少ししっかりと考えなければならないと思う。
そのあたり、どうやって書くべきかなぁと考えてしまった。

興味があれば、解いてみてください。


『暗殺教室 13』松井優征

死神との決着がつき、そして、渚の家庭環境が明かされる。

自分の人生はゲーム「母さん」の2周目だという渚。
でも、多かれ少なかれ、若いうちは親の期待に答えなきゃって思ったり、親の思い通りに動かなきゃいけない人間なんじゃないかって思ったり、するんじゃないかなぁと思う。

悩める渚の母親に対して、殺せんせーは、「渚君の人生は渚君のものだ 貴女のコンプレックスを隠すための道具じゃない」と諭そうとするが、結局失敗。

そんな中、殺し屋が登場。タイミング悪く殺し屋と対峙することになった渚と、その母親。
そういう状況で、渚は、自分の意思が固まったみたいだ。

「母さん
僕は今このクラスで…
全力で挑戦をしています
卒業までに…結果を出します
成功したら…髪を切ります
育ててくれたお金は全部返します
それでも許してもらえなければ
母さんからも卒業します」

母親に対する心情の吐露としては、これ以上のものはないんじゃないかというくらい格好良いなぁと思う。

産んで育ててくれただけで…
すっごい感謝してる
……贅沢かも知れないけど
――ただ我が子がこの世に生まれて
そこそこ無事に育っただけで喜んでくれたら
全てが丸く収まるのに

こんな風に親に対してる思ってる渚が健気に思う。
こんな子供なら欲しいなぁと思った。


さてさて、椚ヶ丘中学校は文化祭の季節だ。出し物をするにしても立地条件で本校舎には大きく水をあけられているE組。
ここでも、殺せんせーの解決策が光る。
山に囲まれていることを逆手に取って、山の幸をふんだんに使った料理を提供しようと。

文化祭がどうなるのかは、次巻のお楽しみらしい。

『暗殺教室 12』松井優征

ロヴロ曰く、世界最高の殺し屋、死神が登場する。

烏丸とイリーナを近づけさせようと一計を案じる生徒たち。
しかし、そのせいでイリーナが決別してしまう結果に。

そんな隙を狙って、死神が手を出してくる。
イリーナを誘拐したというのだ。

サッカー観戦に行っている殺せんせー抜きで、生徒たちだけで助けに向かおうとするが、あっけなく捕まってしまい・・・

捕まりこそしたけれど、この思いっきりの良さとアクティブさは、やっぱり見ものだと思う。
こんな中学生、きっとほとんどいない。

『明智警部の事件簿 2』天樹征丸,さとうふみや,佐藤友生

非常に柔らかいタッチで明智警視が警部だった頃の活躍を描く、『金田一少年の事件簿』のスピンオフ作品。
金田一とは違い、警察官が主人公だから、そういう点でも面白い。

「正義の姿 2~4」
南条さんの判断が誤りだったんじゃないか、というところで、容疑者が死亡して第1巻が終わってしまっていたから、非常に気になっていた。

殺人の容疑者になってしまい、自力で解決しようとする南条さんと、南条さんが犯人のわけがないと信じて、真犯人を見つけ出そうとする明智さん。
最終的にはやっぱり明智さんが事件を解決していく。
フィクションとはいえ、キレッキレだ。

南条さんみたいなタイプの人、好きだなぁとか思ってしまった。

「あこがれの警官」
明智警部の相棒、小林竜太郎があこがれている警官のお話。

長年交番勤務をしてきたゲンさんが、突然警官を辞めると言い出した。
きっかけは、交番の近くで事件が起こったから。
よくよく事情を確認すると、女性が襲われて悲鳴を上げたのに、ゲンさんは気づかなかったという。
それがきっかけで、ゲンさんは、自覚はないけど居眠りをしていたせいだと自分を責めている。

果たして真相は・・・?

ポリシーを持って生きている人は格好良いなぁと思ってしまうストーリーだ。

「引き裂かれた絆 1~2」
小林竜太郎が明智警部のパートナーを外される?
なんか凄腕の外国帰りの男とかが登場して、小林くんの代わりに明智さんの相棒になった。
それでも小林くんはなんとか明智さんに認めてもらおうとするけれど・・・

何だかんだで明智さんは、いけ好かない外国帰りよりも小林くんを頼りにしてる感じがして良い気分になる。
次巻には解決編が収録されるはずだから、事件の結末も楽しみだ。

『金田一少年の事件簿R 5』天樹征丸,さとうふみや

明智警視の学生時代の活躍を描く作品全編と、蟻地獄壕殺人事件の5話までが収録されている。

「学生明智健悟の事件簿 1~4」
金田一もそうだけど、明智警視も、犯人に対しては非常にクールだなぁといつも思う。
知り合いが犯人だって確信を持ってしまったら、その時点でもっと取り乱すのが普通じゃないかと思うんだけど、「自首してくれ」とか優しさを見せながらも、あなたが犯人ですっていうことを、理詰めで説明していく。

もう少し、人間らしい葛藤を見たかったなぁというのが正直なところ。
その点、コナンなんか、もっと、「そんなわけない」とか言いながら、必死で犯人じゃない証拠を探そうとする感じだから、好感が持てる。

「蟻地獄壕殺人事件 1~5」
いつきさんが事件のきっかけを作るというお決まりのパターン。
以前はちょくちょく登場してたけど、『金田一少年の事件簿R』になって初めての登場だ。

舞台設定が非常に効果的になされていて、面白いなぁと思う。

今後、どう展開していくのか楽しみだ。

『日暮らし 上・下』宮部みゆき

『ぼんくら』に続いて、『日暮らし』も読んでみた。

『ぼんくら』の感想はここに書いてるから、良かったらどうぞ。

今作は、『ぼんくら』と同じように、最初に数編の短編があり、その後、「日暮らし」という長い長い章に突入するという構成になっている。
パッと見の構成こそ同じだけど、その組み立て方は全然違う。
解説の言葉を借りると、

「『ぼんくら』では、一見すると無関係に思えた冒頭の短篇が、次第に一つに繋がっていくダイナミズムがあったのに対し、本書は一話完結の短篇の中に長辺部分の伏線が張り巡らされており、後半になるとパズルのピースが嵌まるべきところに嵌まって意外な絵を浮かび上がらせる驚きがある。」

だから、最初は、このストーリーは、後半どんな風に絡んでくるんだろうと考えたりしてて、どうやら直接は無関係なんだ、ということに気付くまでに少し時間が掛かった。

長編、「日暮らし」は、佐吉が母親の葵を殺めたという事件が起こり、佐吉が捕まったことから始まる。

湊屋の力でもみ消されたけれど、本当は佐吉がやった、ということで落ち着いているため、冤罪を晴らす目的で平四郎が甥っ子の弓之助とともに事件を解決に導く。
そう言うと平四郎が事件を解決に導くみたいだけれど、実際のところ弓之助が中心だっていうところが面白いと思う。

相変わらず弓之助が冴えに冴えまくってる。これでおねしょしなければなぁ・・・

どんなにきれいに字が書けても、所詮は真似事で自分の字を書く人には劣る、と話す弓之助に感心させられた。

『ぼんくら』では測量大好きだった弓之助、『日暮らし』では測量をやめて、測れないものに目を向けようとし始めたらしい。
どんどん成長していく弓之助が、今後どうなっていくのか楽しみだ。

次は『おまえさん』を読もうと思う。



うーん、色々書いたけど、内容がない。
まぁ良いや。

『モンテ・クリスト伯 7』アレクサンドル・デュマ

いよいよ最終巻。
今巻の前半で、ヴァランティーヌが毒薬によって死の危機に。
そのとき、モンテ・クリスト伯は・・・。

そして、モンテ・クリスト伯の残るターゲット、ヴィルフォールとダングラールは・・・。

ヴィルフォールを苦しめたことがきっかけになって、ヴィルフォールのみならず、彼の子供までが命を落とす結果になってしまった。そして、そのことを苦悩したモンテ・クリスト伯は、復讐をすることが果たして正しいことなのかと苦悩し始める。

どんどんストーリーが暗い方向に進んでいっていることが気がかりだったけれど、最後の最後に救いがあって良かった。ヴァランティーヌとマクシミリアンの前途を祝したい。

今回は全7巻セットを買って、紙の本で読んだけれど、お金に余裕があれば、キンドル版も買っておきたいと思う。

2015年4月29日水曜日

『モンテ・クリスト伯 6』アレクサンドル・デュマ

いよいよモンテ・クリスト伯の復讐が始まった。
といっても、実際のところ、どの程度が偶然の産物で、どの程度がモンテ・クリスト伯の計画なのかがいまいちよく分からなかった。

最初はカドルッス、そして、フェルナン。

この物語の前半からショックだったのは、メルセデスがフェルナンと結婚していたことだった。あれほどエドモン・ダンテスのことを好きだったのに、なぜ? っていう感じだった。

でも、決してエドモンのことを忘れていたわけではないっていうことが、巻を追うごとに明らかにされてきた。

この巻では、ある事情からフェルナンの息子、アルベールがエドモンと決闘することになったとき、それを止めるために、父親がいかにひどいことをしたかっていうことを、アルベールに対して伝えるという、母親としては苦しい役回りを演じきった。

フェルナンが自殺した後、モンテ・クリスト伯とメルセデスがつながるのかと思ったけれど、どうやらそうではないらしい。

残るはダングラールとヴィルフォール。
さて、どうなることやら。

2015年4月27日月曜日

『名探偵コナン 86』青山剛昌


黒の組織のN0.2の噂が出てくる86巻。

コナンは何というか、血気盛んだなぁというのが、最近になって目立つようになった。
悪いことではないんだろうけど、特徴にマッチした相手全員を怪しいと思い込むのは、さすがに相手に悪いんじゃないだろうか。
まぁ、警戒するのは悪いことではないと思うけど。

コナンの新作映画、『業火の向日葵』が公開された。
近々観に行ってこようと思う。

『ぼんくら 上・下』宮部みゆき

ぼんくらな同心、平四郎と、その甥、弓之助が活躍するシリーズ。
宮部みゆきの時代劇ミステリーだ。

大好きな女性に勧められたから、もともと宮部みゆきの小説は好きだったし、読んでみた。

とにかく弓之助が良いキャラだなぁと思った。

「世の中を計るというのは、とても面白いことでございますよ。計れば、ものとものとの距離がわかります」

なんていう、当たり前のことを言う。

「距離がわかって……何になる?」

と平四郎が問えば、

「ものの有りようがわかります」

と切り返す。
大げさだって思ったけど、この返答は面白いなぁと思った。

小説の構成が独特で、最初は、短編集かと思うんだけど、途中から、1編1編が、あとあとの話につながってきてるんだ、ということが分かる。

誰のための事件なのか、っていう部分が、正直なところいまいちよく分からなかったりもした。動機がしっくり来ないというか・・・
でも、ストーリー自体は面白いと思う。
おくめさんが死んじゃったのは残念だったなぁ。

『日暮らし』『おまえさん』も引き続き読んでみようと思う。

2015年4月17日金曜日

(再読)『恋恋蓮歩の演習』森博嗣

Vシリーズ第6作。

タイトルが読めない、というのが初読時の一番の印象だった。

恋恋・・・
思いきれずに執着すること。
恋い慕って思いきれないさま。

蓮歩・・・
美人のあでやかな歩み。

分解してみても、さっぱり意味がわからん。
演習につながらない・・・

何かしら意味のあるタイトルではあるんだろうけど。
恋恋の対象は、保呂草なのか、それとも、関根朔太の自画像のことなのか。

保呂草が格好良すぎてヤバかった。


全然感想になってないけど、この辺で。

(再読)『魔剣天翔』森博嗣

Vシリーズ4作目。

なんだか曰くありげな小鳥遊くんと杏奈。一方、保呂草はエンジェル・マヌーヴァーを巡って暗躍。各務亜樹良なんていう変な奴も登場した。

杏奈の出自が寂しくて、そこが個人的には一番ぐっとくるところだった。

そして、練無の失恋・・・
良い人に巡りあって欲しい。

(再読)『夢・出逢い・魔性』森博嗣

Vシリーズ4作目。
小鳥遊くんの恋の逃避行、という感じの印象が強いけれど、全然そんなことなかった。

小鳥遊くんは馬鹿っぽいけど、しっかりしてて、特に言葉の使い方に厳しくて、そういうところが好きだ。

クイズ番組のリハーサルの最中、殺人事件が発生した。
その容疑者と目されるタレントが、小鳥遊練無と失踪。

というストーリー。

最終的には紅子さんが相変わらずの鋭さで事件を解明してしまう。あろうことか、クイズ番組の本番収録の途中で。

面白かったのは、練無が女装だってバレてからの周囲の反応。あの程度でテープ一本無駄になったりするのだろうか・・・

『モンテ・クリスト伯 5』アレクサンドル・デュマ

モンテ・クリスト伯爵に置いて行かれてる感じになってる第5巻。

色々と暗躍してるのは分かるんだけど、その行動にどういう意図があるのかが、正直不明。

今回、最後まできちんと通読して、そのあとで、しばらく時間置いた後に、再度しっかりと読んでみたいなぁと、5巻にして思った・・・

個人的には、エデの下りに意味がありそうに感じたけれど、はてさて、どうなることやら。

2015年3月30日月曜日

(再読)『月は幽咽のデバイス』森博嗣

Vシリーズ3作目。

今作は何と言っても猛獣が出てきたところにインパクトがあった。

今作から得られる教訓は、現象全てに誰かの意図が絡んでいると思ったら間違いだ、ということ。意図せず生じた現象もたくさんあるっていうことを、意識しなきゃいけないんだと思う。

近い将来、ペットを飼ってみても良いかなぁと思った。

(再読)『人形式モナリザ』森博嗣

Vシリーズ2作目。

森博嗣の作品の特徴だけど、決して無理なトリックを使ってない。
トリックが判明してみると、非常に自然でびっくりする、ということが多いんだけど、この作品もそんな感じだ。

まぁ、それ以外にコメントはない。

あとは、そうだな、モナリザの構成方法が秀逸だっていうことくらいかな。

(再読)『黒猫の三角』森博嗣

Vシリーズ1作目。

初読の時は、雰囲気がS&Mシリーズと大きく変わって、戸惑って、つまらないなぁと感じたことを覚えてる。数冊読み進めて、はまっていったけど。

小鳥遊くん、やっぱり好きだなぁって思った。

短編で初めて登場して、そこで女装をするきっかけを与えられた小鳥遊くん、このシリーズでは、その設定が引き続き活かされてる。

シリーズ1作目、『アクロイド殺し』以降、ありがちな設定が用いられてる。
犯人を知った上で読むと、また違った味わいがあって面白い。

『探偵の探偵 Ⅲ』松岡圭祐

いよいよ、「死神」との対決だ。

死神と言えば、『暗殺教室』にも死神が出てきたなぁ、みたいな関係ないことを連想してしまった。

テニスプレーヤー、アーサー・アッシュの言葉が引用されてた。

「いまいる場所から始めよ。持っているものを使え。できることをしろ」

まったく、その通りだ。
それが出来ていない自分が嫌になる。

死神の正体が判明するんだけど、非常に驚いた。
勝手におっさんっていうイメージを作り上げてたせいで、余計にインパクトが強かった。
ただ、死神のポリシーというか、生き方というか、考え方というか、そういうものは、分からないでもないかなぁと。

玲奈と琴葉の決別の場面で終わる今作、このあと、この2人がどうなっていくのか楽しみだ。

『モンテ・クリスト伯 4』アレクサンドル・デュマ

いよいよ折り返し地点だ。

着実に、モンテ・クリスト伯が復讐のための下準備を進めていることが分かる。
分かるんだけど、登場人物が入り乱れてて、具体的にどういう風に物語が進行しているのか、初読で、しかもゆっくり読んでる現在、わかりづらい。

この本の前半、マクシミリヤン・モレルとモンテ・クリスト伯が会話を交わしているところで、マクシミリヤンの父親が、自分を助けた人物について、最期に「マクシミリヤン、あれはエドモン・ダンテスだった!」と述べていたことを聞いたモンテ・クリスト伯の心の動きが印象的だった。

この作品の世界はモンテ・クリスト伯を中心に回ってる、という印象が強い。
思いのまま、という感じがして、そのへんがつまらないかもしれないけど、モンテ・クリスト伯の執念には目を見張るものがある。

あと3冊。このまま行けば、6月くらいには読み終わるのかなぁ。

2015年3月6日金曜日

(再読)『有限と微小のパン』森博嗣

S&Mシリーズの最終作。
最初の作品、『すべてがFになる』の英語タイトルは、

"THE PERFECT INSIDER"

それに対して、今作、『有限と微小のパン』の英語タイトルは、

"THE PERFECT OUTSIDER"

この対比だけで、個人的には十分面白い。

この2つの英語タイトルは、真賀田四季の立ち位置を表してる。
完全に内部者、関係者であった『すべてがFになる』に対して、完全に外部の存在である『有限と微小のパン』。
終わってみれば、物語の中で、真賀田四季ほど外側にいた存在はいなかった。

Gシリーズ、Xシリーズまで含めて考えてみても、森博嗣の作品の大部分は、真賀田四季を中心として動いているような感じがする。

引き続き、KindleでVシリーズを読み進めて行こうと思う。

2015年2月25日水曜日

(再読)『数奇にして模型』森博嗣

S&Mシリーズ9作目。

何が一番印象に残ったかと言えば、大御坊安朋だ。
肝心のストーリーは、評価に困る。
面白くないわけではないけれど、改めて読んでみて、やっぱりつまらないなぁと感じた。

こんなやついるわけない、と思わせることで容疑者にならないようにしている、というのが最大のトリックなんだけど、うーん・・・

『モンテ・クリスト伯 3』アレクサンドル・デュマ

2巻では主に波乗りシンドバッドを名乗っていたエドモン・ダンテス。今巻から本格的にモンテ・クリスト伯を名乗り始めた。

エドモン・ダンテスとモンテ・クリスト伯が同一人物だという記載はどこにもないけれど、それが理解できる、というのが面白いところだと思う。
まぁ、あらすじ知ってるからなのかもしれないけど。

2巻からずっと登場してたアルベールという男。
核となる物語にどんな関係があるんだ? とずっと気になってたんだけど、今巻の途中で、ようやく分かった。
母親がメルセデスらしい。
ちなみに、ネットの情報によると父親はフェルナンらしいけれど、この巻では、まだ明らかにされていなかった気がする。父親はモルセール伯爵だという記載があるだけだ。

ほかにも、ダングラールやヴィルフォールなども登場して、それぞれがみんな知り合いらしい。数年経っても、まだ互いにつながっていることに驚きを感じる。
もっとも、だからこそ、モンテ・クリスト伯にとっては、彼らに取り入る手間も最小限で済むんだろう。
次は4巻。折り返し地点だ。このあと、どんな感じで復讐していくのか、楽しみだ。

2015年2月19日木曜日

『C.M.B. 28』加藤元浩

『キジムナー』
沖縄の精霊、キジムナーにまつわる一作。
ある男にはキジムナーが付きまとっている。このキジムナーは、一般的に伝えられているキジムナーとは姿形が変わっていて、彼が見張っているせいで、男は嘘がつけない。
キジムナーは、嘘をつくと殺して食ってしまうらしい。
彼の想像するキジムナーがなぜ変わった姿をしているのか、その理由を様々な事情をきっかけとして解き明かしていく。
成長っていうものの、1つの側面を見せてくれる作品に仕上がっていると思う。

『空き家』
刀の鑑定をして欲しいと依頼されて、ある老人が住む家を訪れた。
実は、この家は、もともと持ち主が別の人物だった。
「人が入れ替わったのに近所の人 よく気が付かなかったね」と言う七瀬立樹に対しての榊森羅の言葉が印象的だった。
「え? そう? 近所の付き合いのない人が入れ替わったとして 気付く自信ある?」
若いのに、色々な知識、経験があるだけあって、核心を突いていると思う。
ストーリー自体がどういうものかをここに記すつもりはないけど、近所付き合いが疎遠になっている現代社会に対して警鐘を鳴らす作品のように感じた。

『ホリデー』
上、下からなる2話構成。
紛争中の国に対して、安全保障理事会に停戦命令を出してもらおうと、常任理事国との駆け引きをする場面を描いた作品。
交渉の材料が刺激的だし、言葉遣いも巧み、カマの掛け方も絶妙だ。
こういう交渉力が欲しいなぁと思う。

『Q.E.D. 50』加藤元浩

50巻続いた『Q.E.D.』。
掲載雑誌を変えて『Q.E.D. iff』として再スタートするらしく、『Q.E.D.』としての発売は、今巻が最後だ。

内容は、『観測』、『脱出』という2作品で、どちらも描き下ろし作品とのこと。

『観測』は、マサチューセッツ工科大学時代に知り合った天才美少女サリーが巻き込まれたトラブルに燈馬想が手を貸すという話。
「あなたは立派な科学者にも政治家にも大統領にもなれる素質があるのよ」というサリーの母親。
そんな母親が、
「私のわからないことをやっていても ちっとも偉くないのよ」
と断言した。
この発言がきっかけとなって、サリーは母親と決別する。
自分がやりたいこと、できることを追求している姿が美しいなぁと思った。
たぶん、サリーは燈馬のことが好きだったんだろうなぁ。

『脱出』は、かつて、ある少年が事件を目撃したという話が描かれた後、脱出ゲームを開催してほしいという謎の手紙がお金と共に水原加奈のもとに舞い込むところからスタートする。
少年が成長して何に気付いたのか、それがキーになっているわけだけれど、話作りが面白いなぁと思った。
実現可能なトリックかどうかは正直なところ疑問ではあるけれど、そういう瑕疵を問題にしない面白さがあると思う。
加藤元浩の作品は、トリックというよりも、話作りに重点が置かれているミステリー漫画だと感じる。

今後の作品も楽しみにしたい。

2015年2月16日月曜日

(再読)『今はもうない』森博嗣

S&Mシリーズの8作目。

内容を全然覚えていなくて、読み始めて、なんだこれは、という感じがした。
一人称で記述されてるんだけど、「私」は、笹木という男。

真相を理解したときに感じたのは、叙述トリックとしては微妙なのではないか、ということ。

ただ、作品を通して理解できたことがあるとすれば、西之園萌絵と佐々木睦子は良く似ている、という事実。
この2人が似通った人物だったからこそ、このトリック、もとい作品が出来上がったんだと思う。
あと、今まで全然話に出てこなかった佐々木知事がどのような人物なのかが分かって楽しかった。

(再読)『夏のレプリカ』森博嗣

S&Mシリーズの7作目。

『幻惑の死と使途』に描かれた事件と同時期に起こった事件、萌絵の親友、簑沢杜萌が遭遇した事件が描かれている。

『幻惑の死と使途』と同時期に起こったという理由で、今作は偶数章のみから構成されている。『幻惑の死と使途』は奇数章だ。

萌絵が真相に気づく場面が印象的だった。
チェスのゲーム運びがきっかけになるわけだけど、ゲームの戦略というのは、人の考え方を色濃く反映するものだと思うから、ここから真相を導くというのは、一理あるのかな、という感じがする。

犯人を主体とした描写をして、その主体が犯人とは気付かれないように記述する、というのは、結構な難易度のスキルだと思うんだけど、それが成功しているかどうかは、正直なところ良く分からなかった。

(再読)『幻惑の死と使途』森博嗣

S&Mシリーズの6作目。

マジシャン、有里匠幻がイリュージョンの最中にナイフが胸に刺さって死亡しているのが発見された、というところから、今回の事件は始まる。

『夏のレプリカ』と同時期に起こった事件ということで、この作品は奇数章だけから構成されている。
もちろん、『夏のレプリカ』は偶数章だけから構成されている。

現象が同時に起こったとしても、言葉にするとどうしても直列になってしまう、ということが、このような構成にした理由らしい。
確かに、と関心した。同時に生じた事象を説明するときでも、どうしても順番にならざるを得ない。

初読の際には気づかなかったことだけど、Vシリーズの主要キャラの1人、加部谷恵美が今作で初登場している。まだ中学生で初々しい。

この作品で面白いと感じるのは、犀川が一番最後に語る解釈だ。有里匠幻とは何者だったのか、というところ。こういう考えは、実際にはなかなか出てこないことだと思う。フィクションならではだ。

ちなみに、6作目にして西之園萌絵が事件の真相を警察に説明している。
成長を感じられる1作だ。

2015年2月4日水曜日

(再読)『封印再度』森博嗣

S&Mシリーズの一作。

今回は、結論を言ってしまうと、おそらく自殺だろう、という話で終わるんだけど、自殺の方法が秀逸だった。
常温で液体である金属の存在は知ってるけど、通常は個体だけど融点が100度よりも低い金属の存在は、正直なところ知らなかったから、勉強になった。

『モンテ・クリスト伯 2』アレクサンドル・デュマ

『モンテ・クリスト伯』の2巻。
今巻は、ダンテスが脱獄して、かつてお世話になったモレル商会を助ける一部始終が描かれてる。

ダンテスの脱獄の成功と引き換えに、ファリア司祭は亡くなってしまった。

今巻の最後の方は、ダンテス改めモンテ・クリスト伯が波乗りシンドバッドを名乗って、何か色々なことをやっている。
何をやろうとしてるのか、まだ良くわからない。

最終7巻まで、まだ長い。
じっくり取り組もう。

2015年1月29日木曜日

(再読)『詩的私的ジャック』森博嗣

なんとなく、東野圭吾の『容疑者Xの献身』に通じるものがあるんだけれど、でも、全然違う。

『容疑者Xの献身』と比べると、ある意味で、もっと真面目な動機で人を殺してるし、ある意味ではもっと狂ってる。
ただ、人を殺す理由としては、割と健全だと思うのは、私だけだろうか。

私の祖母が、余命3ヶ月だと宣告されたらしい。
余命宣告されたところで、きっちり宣告通り死ぬかどうかなんて分からないけれど、少し思ったのは、他者に殺されるのと、老衰を含む身体的な異常で死ぬのだと、どっちが幸せなんだろう、ということだ。

この作品の殺人者は、たぶん、殺されることと身体的な異常による死との差異を認めていないんだろう、と思う。
そういう精神を理解できると思ってたんだけど、どうやら私にはまだ理解できない、ということが今回の出来事で判明した。

2015年1月22日木曜日

(再読)『笑わない数学者』森博嗣

あんな話し方をする数学者がいったいどれだけいるのか、って思うけれど、ちょっとしたジョークとしてなら、自分自身もたまに使うフレーズだったりする。
ただ、やっぱり誇張されすぎだ。

この作品に出てくる、ビリヤード玉の問題が個人的に気に入っている。
条件が少し緩いかなぁって感じるのと、問題としてつまらないと感じるから、少しだけ条件をきつくしてみると・・・

円形に5つの自然数を並べる。
各自然数と、隣り合う複数個の自然数の和を用いて、1,2,3,・・・と、1から順番に連続する自然数を作っていく。
こうすると、最大いくつまでの自然数を作れるか。
たとえば、円形に並んだ自然数の一部が
-1-2-
であれば、1,2,1+2=3の3つの数が作れる。

これを、証明付きで解答するっていう問題を過去に別の場所で出題されて、少し悩んだ覚えがある。

ちなみに、この小説は、舞台となる建物の構造が面白くて、初めて読んだ時から気に入っている作品。プロ目線で言うと、建築基準法違反らしいけれど。

2015年1月19日月曜日

『モンテ・クリスト伯 1』アレクサンドル・デュマ

もう少しで船長になれる、あと少しで許嫁と結婚できるというところで投獄された一等航海士、エドモン・ダンテスの物語。
言わずと知れた『モンテ・クリスト伯』の第1巻。

第1巻は、牢獄の中で、ファリア司祭に出会い、宝についての話を聴くところまでが描かれてる。

長編だから、『レ・ミゼラブル』を読んだときみたいに苦しむのかと不安だったけれど、この作品はだいぶ読みやすい。
大雑把なあらすじは知っているけれど、きちんと読むのは初めて。今後、どう展開していくのかが楽しみだ。

大デュマとも称されるアレクサンドル・デュマ。息子が書いてる『椿姫』も、暇があれば読んでみたいと思う。

2015年1月16日金曜日

(再読)『冷たい密室と博士たち』森博嗣

数年ぶりに読んだ。
やっぱり、知識を身につけると味方が全然違うんだなぁと感じる。

犀川や萌絵、喜多、ひいては森博嗣の思考回路が面白い。

与えられた問題をどうやって解くべきか、という姿勢の話になるけれど、出来るだけシンプルに、矛盾なく説明をしていくというその流れは、広く役に立つものなんじゃないかと思う。

事象が突飛であれば突飛であるほど、何かとんでもないことが起こったんじゃないかと考えがちだけれど、実は、そうでもなかったりする。素直に、筋が通るストーリーを構築できれば、それが正解だということが多い、というのが、この小説から受け取るべき教訓なのかもしれない。

たぶん、森博嗣はそんなこと全然考えてないんだろうけれど。

『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー

言わずと知れた名作、『ライ麦畑でつかまえて』。
恥ずかしながら、最近初めて呼んだ。

タイトルのきっかけにもなっている、ストーリー後半の、主人公がライ麦畑の捕まえ役、そういうものになりたいと妹に話す場面。

ここにいたるまでの、主人公の言動、心の動きなどを描いた作品ではあるんだけれど、初読ではあったものの、色々と感じる部分はあった。
かといって、必ずしも共感できたわけではなく、自分が中学生や高校生くらいの頃と比べると、全然違うなぁと感じる部分が多かった。
どういう気持ちで読み進めれば良いのか、分からない部分がたくさんあった。

また、もう少し大人になって、心の機微を感じられるようになったときに、また読んでみたいと思う。

2015年1月9日金曜日

(再読)『すべてがFになる』森博嗣

学部1年生の頃に初めて読んだ作品。
今持ってる本をすべてKindleで買おうと思ってる。で、最近買ったのがこの作品だ。『すべてがFになる』。

ドラマは観てないんだけど、観てない人間として批判すると、タイトルが『すべてがFになる』だったこと。
これは、作品の一つであって、シリーズの名前ではないし、もちろん、探偵の名前でもない。
インパクトがあるからタイトルに採用したんだろうけど、『すべてがFになる』以外の作品もドラマで作られただろうから、そのあたり、なんか違和感を感じてムズムズする。

最初に読んだ時と比べて、コンピュータ用語をきちんと理解できるようになってた自分に驚いた。前職での1年半のプログラミング経験も無駄ではなかったらしい。

10進法で1から10の数字を考えると、7が孤独だ。他のどの数とも互いに素だから。
一方、16進法を考えると、7は孤独ではなくなる。E、すなわち14があるから。16進法で孤独なのはBとD、つまり、11と13だ。
そういう感じの話が、この小説のキーワードになってる。

面白かった。
小休止して、『冷たい密室と博士たち』に進もう。

2015年1月5日月曜日

『嫌われる勇気』岸見一郎,古賀文健

話題の一冊。
青地に白色で「嫌われる勇気」。これだけで読んでみたくなる。

色々とためになる言葉が書かれてあった。

一番大切なことは、やっぱり嫌われる勇気を持とうということではあるんだけど、その準備段階としての、自分ができることと自分にはできないことをしっかりと区別するという考え方。これをアドラーは課題の分離と呼んだらしい。
まさしく、目からウロコだった。

原因論から目的論への視点の変化なども面白かった。

アドラー心理学については、正直なところ全然知らなかったんだけど、もう少し、色々と勉強してみたいなぁと思う。もちろん、心理学全体から見たときのアドラー心理学の立ち位置などにも興味がある。

参考にできるところは、しっかりと意識しながら今後の生活に役立てていきたいと思う。