2015年1月29日木曜日

(再読)『詩的私的ジャック』森博嗣

なんとなく、東野圭吾の『容疑者Xの献身』に通じるものがあるんだけれど、でも、全然違う。

『容疑者Xの献身』と比べると、ある意味で、もっと真面目な動機で人を殺してるし、ある意味ではもっと狂ってる。
ただ、人を殺す理由としては、割と健全だと思うのは、私だけだろうか。

私の祖母が、余命3ヶ月だと宣告されたらしい。
余命宣告されたところで、きっちり宣告通り死ぬかどうかなんて分からないけれど、少し思ったのは、他者に殺されるのと、老衰を含む身体的な異常で死ぬのだと、どっちが幸せなんだろう、ということだ。

この作品の殺人者は、たぶん、殺されることと身体的な異常による死との差異を認めていないんだろう、と思う。
そういう精神を理解できると思ってたんだけど、どうやら私にはまだ理解できない、ということが今回の出来事で判明した。

2015年1月22日木曜日

(再読)『笑わない数学者』森博嗣

あんな話し方をする数学者がいったいどれだけいるのか、って思うけれど、ちょっとしたジョークとしてなら、自分自身もたまに使うフレーズだったりする。
ただ、やっぱり誇張されすぎだ。

この作品に出てくる、ビリヤード玉の問題が個人的に気に入っている。
条件が少し緩いかなぁって感じるのと、問題としてつまらないと感じるから、少しだけ条件をきつくしてみると・・・

円形に5つの自然数を並べる。
各自然数と、隣り合う複数個の自然数の和を用いて、1,2,3,・・・と、1から順番に連続する自然数を作っていく。
こうすると、最大いくつまでの自然数を作れるか。
たとえば、円形に並んだ自然数の一部が
-1-2-
であれば、1,2,1+2=3の3つの数が作れる。

これを、証明付きで解答するっていう問題を過去に別の場所で出題されて、少し悩んだ覚えがある。

ちなみに、この小説は、舞台となる建物の構造が面白くて、初めて読んだ時から気に入っている作品。プロ目線で言うと、建築基準法違反らしいけれど。

2015年1月19日月曜日

『モンテ・クリスト伯 1』アレクサンドル・デュマ

もう少しで船長になれる、あと少しで許嫁と結婚できるというところで投獄された一等航海士、エドモン・ダンテスの物語。
言わずと知れた『モンテ・クリスト伯』の第1巻。

第1巻は、牢獄の中で、ファリア司祭に出会い、宝についての話を聴くところまでが描かれてる。

長編だから、『レ・ミゼラブル』を読んだときみたいに苦しむのかと不安だったけれど、この作品はだいぶ読みやすい。
大雑把なあらすじは知っているけれど、きちんと読むのは初めて。今後、どう展開していくのかが楽しみだ。

大デュマとも称されるアレクサンドル・デュマ。息子が書いてる『椿姫』も、暇があれば読んでみたいと思う。

2015年1月16日金曜日

(再読)『冷たい密室と博士たち』森博嗣

数年ぶりに読んだ。
やっぱり、知識を身につけると味方が全然違うんだなぁと感じる。

犀川や萌絵、喜多、ひいては森博嗣の思考回路が面白い。

与えられた問題をどうやって解くべきか、という姿勢の話になるけれど、出来るだけシンプルに、矛盾なく説明をしていくというその流れは、広く役に立つものなんじゃないかと思う。

事象が突飛であれば突飛であるほど、何かとんでもないことが起こったんじゃないかと考えがちだけれど、実は、そうでもなかったりする。素直に、筋が通るストーリーを構築できれば、それが正解だということが多い、というのが、この小説から受け取るべき教訓なのかもしれない。

たぶん、森博嗣はそんなこと全然考えてないんだろうけれど。

『ライ麦畑でつかまえて』J.D.サリンジャー

言わずと知れた名作、『ライ麦畑でつかまえて』。
恥ずかしながら、最近初めて呼んだ。

タイトルのきっかけにもなっている、ストーリー後半の、主人公がライ麦畑の捕まえ役、そういうものになりたいと妹に話す場面。

ここにいたるまでの、主人公の言動、心の動きなどを描いた作品ではあるんだけれど、初読ではあったものの、色々と感じる部分はあった。
かといって、必ずしも共感できたわけではなく、自分が中学生や高校生くらいの頃と比べると、全然違うなぁと感じる部分が多かった。
どういう気持ちで読み進めれば良いのか、分からない部分がたくさんあった。

また、もう少し大人になって、心の機微を感じられるようになったときに、また読んでみたいと思う。

2015年1月9日金曜日

(再読)『すべてがFになる』森博嗣

学部1年生の頃に初めて読んだ作品。
今持ってる本をすべてKindleで買おうと思ってる。で、最近買ったのがこの作品だ。『すべてがFになる』。

ドラマは観てないんだけど、観てない人間として批判すると、タイトルが『すべてがFになる』だったこと。
これは、作品の一つであって、シリーズの名前ではないし、もちろん、探偵の名前でもない。
インパクトがあるからタイトルに採用したんだろうけど、『すべてがFになる』以外の作品もドラマで作られただろうから、そのあたり、なんか違和感を感じてムズムズする。

最初に読んだ時と比べて、コンピュータ用語をきちんと理解できるようになってた自分に驚いた。前職での1年半のプログラミング経験も無駄ではなかったらしい。

10進法で1から10の数字を考えると、7が孤独だ。他のどの数とも互いに素だから。
一方、16進法を考えると、7は孤独ではなくなる。E、すなわち14があるから。16進法で孤独なのはBとD、つまり、11と13だ。
そういう感じの話が、この小説のキーワードになってる。

面白かった。
小休止して、『冷たい密室と博士たち』に進もう。

2015年1月5日月曜日

『嫌われる勇気』岸見一郎,古賀文健

話題の一冊。
青地に白色で「嫌われる勇気」。これだけで読んでみたくなる。

色々とためになる言葉が書かれてあった。

一番大切なことは、やっぱり嫌われる勇気を持とうということではあるんだけど、その準備段階としての、自分ができることと自分にはできないことをしっかりと区別するという考え方。これをアドラーは課題の分離と呼んだらしい。
まさしく、目からウロコだった。

原因論から目的論への視点の変化なども面白かった。

アドラー心理学については、正直なところ全然知らなかったんだけど、もう少し、色々と勉強してみたいなぁと思う。もちろん、心理学全体から見たときのアドラー心理学の立ち位置などにも興味がある。

参考にできるところは、しっかりと意識しながら今後の生活に役立てていきたいと思う。