2014年3月31日月曜日

『魔人探偵脳噛ネウロ』松井優征

『魔人探偵脳噛ネウロ』

ジャンプに連載されて,リアルタイムで読んでた頃は,途中で面白くなくなって放り投げた.

でも,ある時ジャンプで久々に読んでみると,ちょうどHALとの戦いのクライマックスで,本城刹那が登場していたあたりだった.

物語の構成,題材,すごいなって思ったのを覚えてる.

その後,結局ジャンプは最終話まで読んだんだけど,単行本は買わずじまい.

今回Kindleだから場所取らないし,ということで久々に全巻通読してみた.

面白い.
最近ジャンプで連載中の『暗殺教室』が個人的にものすごくハマってるんだけど,ネウロは,間違いなく同じ作者が書いてるんだっていうことが分かる.

今の自分だったら,自信を持ってお勧めすることが出来ると思う.


弥子の自信,思い,そういうものに触れるにつれ,架空の人物だっていうことは分かってるけど,こういう人になりたいなって思い始めた.

『天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話』ウィリアム パウンドストーン

今朝、電車の中で読み終わった。 
少々難しい部分もあったけど、情報理論の始祖,クロード・シャノンやエド・ソープが、儲けるためにどのように行動したか、非常に面白く読むことが出来た。

最近自分がどういう道を生きていこうかってものすごく悩んでる.

この本に出てくる人々は,首尾一貫しててすごいと思う.
ただひたすら,いかにして儲けるかを考えた人々だ.

見習いたいと思う.

1年くらい経った頃に,また読んでみようと思う.
そうしたら違う発見が得られるかもしれない.

2014年3月24日月曜日

『古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと』内村直之

仕事があるにも関わらず,徹夜して一気に読んでしまった.

著者の数学や数学者への理解があってこそ成し遂げられた作品なのかな,と思う.

数理解析研究所がどんな想いで設立に至ったのか,その背景が最初の章で描写されていて,その後,各章で,数理研を代表する何人かの逸話が記載されている.

印象に残る部分が多々あった.

「朝起きた時に,きょうも1日数学をやるぞと思ってるようでは,とてもものにならない.数学を考えながら,いつのまにか眠り,朝,目が覚めたときは既に数学の世界に入っていなければならない.どの位,数学に浸かっているかが,勝負の分かれ目だ.数学は自分の命を削ってやるようなものなのだ」
佐藤幹夫の言葉だ.
自分が研究職を諦めた理由のひとつは,一生数学をしていくんだ,という決意を抱けなかったことにある.

特に,伊藤清に関する章は,金融機関に籍を置く数学出身の人間として,真摯に受け止めなければいけない警告を含んでいたように思う.

「私は……,ここで『経済戦争』にも反対したいことを付け加えたいと思います……『経済』の一部である『金融』から,更に派生したに過ぎない商品や,そのディーラーの名のもとに行われる戦争を一刻もはやく終わらせて,有為の若者たちを故郷の数学教室に帰していただきたいと思うのは妄想でしょうか」

数学に少なからず関心を寄せている人なら,読んで損はないんじゃないかと思う.

2014年3月21日金曜日

『ヤクザ式 「困った上司」とつき合う実践心理術』向谷匡史


同僚に勧められて読んでみた.

少々くどい部分もあったけど,ためになることも結構あった.すでに実践してることもあったし,分かってはいたけど行動出来てないこともあった.

とりあえず,ヤクザ式ではなく,少なくない人が実践している方法をヤクザにたとえて説明した本だった.

ためにはなったんだけど,その都度感心した,っていう感じで,あんまり心に残る考えはなかったかも.

2014年3月19日水曜日

『暗号の数学的基礎 数論とRSA暗号入門』


最初は真面目に読んでたけど,知らない部分は違う本で勉強したほうが良い,と考え直して,RSA暗号の肝になる部分だけピックアップしたら,あっという間に読み終わってしまった.

この本の中身は,ほとんどが素因数分解に関するアイディアで占められている.
確かにRSA暗号の肝が素因数分解にあることを考えれば仕方がないのかもしれないけど,不必要な話題が多すぎた気がする.
数学的基礎っていうよりは,暗号周辺の話題,みたいな感じがした.

どういう風にRSA暗号が作られるのか,その暗号が安全である理由は何か,そのあたりについてはこの本でそれなりに理解できたけど,さすがに電車の中で読むには少しだけきつかった.

暗号についての本は,ほかにも色々手を付けてみようと思う.

2014年3月17日月曜日

『カレイドスコープの箱庭』海堂尊

なんというか,一番気になったのは誤字脱字が多いこと.
まぁ,専門書じゃないから別に良いんだけど,若干読みにくかった.

海堂尊の作品は基本的に外れがない.

すべてがリンクしてて,でも,それぞれが独立した作品として楽しめる.
こういう作品は楽しい.

今回の作品は,田口と白鳥のコンピが病理検査室に絡んだ告発文の謎に迫る.
同時に,Ai標準化国際会議なるものを開催せよと高階病院長に指示されて東奔西走する.

思えば,海堂作品に出会うまで,医学部とか病院とかいう組織について,ほとんどと言っていいほど何も知らなかった.
どういう組織なのか,どういう問題を抱えているのか.
もちろん,作品としてデフォルメされてる部分はあるんだろうけど,色々なことを知れたことは非常に価値あることだったなぁと思う.

2014年3月14日金曜日

『死ねばいいのに』京極夏彦

タイトルがずっと気になってたんだけど,なかなか読む暇がなくて,今週初めにKindleでようやく読み始めた.

で,面白かったから一気に読んじゃった.

一話一話,心が穏やかになる小説だった.

この小説の内容は,主人公の男が発する言葉に集約されてる気がする.

「厭なら辞めりゃいいじゃん。辞めたくねーなら変えりゃいいじゃん。変わらねーなら妥協しろよ。妥協したくねーなら戦えよ。なんだって出来るじゃん。何もしたくねーんなら引き籠もってたっていいじゃん」

「本気でどうにも出来なくて、それでも我慢も出来ねーってならさ、本気死ぬしかねーって話じゃんか。死にたくねーなら我慢しろよ。どっちかだろうよ」

アサミっていう女が死んだことで,その女の知り合いだっていう男が6人の人物に接触してアサミについて尋ねる,という話.
その場面を,尋ねられる側から描写してるんだけど,みんなアサミのことを訊かれてるのに自分のことしか話さない.挙句の果てに,どうしようもないんだ,っていう話をすると,男から言われるわけだ.
どうにも出来ないなら

死ねばいいのに

って.
どんなに苦しくても希望はあるっていうことを,全編通して描いてある.

娯楽小説だけど,心に残るものは結構ある.読んで良かった.

2014年3月12日水曜日

『特等添乗員αの難事件Ⅴ』松岡圭祐

松岡圭祐のαシリーズ第5弾.

絢奈と那沖の仲を進展させるための一冊っていう感じだった.

恋愛にスコープを絞って評価すると,αシリーズより,Qシリーズの莉子と悠斗の関係の方が,個人的には良いなぁと思う.

擬音語でたとえるなら,絢奈と那沖の恋愛はデレデレ,っていう感じで,莉子と悠斗はサラサラ,っていう感じ.
我ながら良く分からないたとえだけど,とにかくイメージはそんな感じ.

で,恋愛から離れて,ストーリーの話.

ラテラルシンキングの使い手である浅倉絢奈が難事件を解決するαシリーズだけど,今作は小さな問題をたくさん解決する,っていう感じだった.
これはこれで面白かったんだけど,全体を通して,もっと深い謎があっても良かったかなって思う.割と真相が分かりやすい謎が多かった.

最後にラテラルシンキングの話.

ラテラルシンキング,自分でも時々は利用することがあるけど,やっぱり意識しないとそういう考え方を出来なくて,どちらかというとロジカルに考える傾向があるから,要所要所で最適な思考が出来るようになれたらなぁと時々思う.

2014年3月11日火曜日

『戦略的思考をどう実践するか エール大学式ゲーム理論の活用法』



学部4年生くらいの頃からゲーム理論には興味持ってて,しっかりと数学的に厳密に書かれた本や,初心者向けのくどいくらい分かりやすい本,いろんな本を手に取ってきた.
その中でこの本は,非常にためになった.
数学的に厳密な議論はそこまで多くないけど,ゲーム理論全体に通じる考え方について知ることが出来たように思う.

協力ゲーム
非協力ゲーム

ゼロサムゲーム
非ゼロサムゲーム

交互手番ゲーム
同時進行ゲーム

話題は豊富だ.

ゲーム理論で考えるモデルは合理的な人間だから,初めから厳密な議論に突入してしまうと,どういう風に応用すればいいんだろうと戸惑いがち.
それが,この本だと現代社会への応用がメインだから,ゲーム理論を役立てたいと思ってる人にとっては,格好の入門書になると思う.

何度も読み返して,しっかりと考え方を身に付けよう.