2013年12月31日火曜日

『三国志 1』宮城谷昌光

実は三国志をまともに読むのは初めて.

吉川英治のも途中で挫折して,横山光輝の漫画も途中で放り投げてしまった.

たいてい,つまらないなぁと思って挫折してしまう.興味はあるんだけど・・・

そんな中,宮城谷昌光が三国志を書いた.
宮城谷さんはもともと好きだし,この三国志は1巻を読んだ限り面白かった.
最終巻の12巻まで,きちんと読破しようと思う.

2013年12月17日火曜日

『万能鑑定士Qの探偵譚』 松岡圭祐

前作,『万能鑑定士Qの推理劇 IV』で莉子,悠斗ともども八重山諸島に引っ込んでしまった.

それまでの作品の雰囲気を考えれば,何となく後味が悪い結末だなぁと思ってたけど,今作で莉子が復活する.

やっぱり、行動力があってこそのQちゃんだと読んでて微笑ましくなった.

樫栗さんが少し残念だったのが気にはなるけど,人生,生きてればああいうこともある.
良い経験だったと穏やかな気持ちで思い出せる日がきっと来るはずだ.

2013年12月10日火曜日

『五匹の子豚』アガサ・クリスティー

過去の事件を関係者の証言を基に解き明かす作品.

故意に嘘をついている人物はほとんどいないにも関わらず,見方によってまったく違ってくるっていうところが肝になっている.

誰が語る話なのか,っていうことを,普段から注意すべきだという勉強になった.

やっぱりクリスティーはすごい.

2013年12月4日水曜日

『生存者ゼロ』安生正

第11回の『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
思えば、第1回、浅倉卓弥が『四日間の奇蹟』で大賞を受賞した頃から毎月この賞の受賞作は読んでて、もう11年目なんだなぁとしみじみ。
その間読んだ作品は多いけど、『四日間の奇蹟』や『チーム・バチスタの栄光』、『さよならドビュッシー』など、受賞作品には印象に残ってる本も結構ある。
このミス大賞の作品は外れがない。文学賞の受賞作品は基本的に加筆修正されて発売されるから、面白くて当たり前だっていうのもあるとは思うけど。

この作品は、北海道が正体不明の感染症に汚染されて、次々と人が死んでいく中、原因究明するっていう話だけど、感染症の正体に驚いた。
ありがちな話だけど、キーになる部分はどの作品とも被ってないんじゃないのかなぁと思う。

新人が書いた作品を読むと、小説家を目指してる自分自身、頑張ろうと思える。

2013年11月13日水曜日

『ガンコロリン』海堂尊

海堂尊の新作、『ガンコロリン』。
たぶん初めての短編集なんじゃないかと思う。
いつも通り、突拍子もないストーリーの中で、リアルな問題提起をしてる。

個人的に一番考えさせられたのが、完全な健康体を作り出す国家プロジェクトに選ばれた男を描いた『健康増進モデル事業』という作品。
男1人を健康にするために、健康に悪いということで、小言を言う上司を国家権力で首にして、その男はどんどん昇進。でも、そんな無茶がいつまでも続くわけもなく、最終的に会社を辞めることになり、会社も潰れたという結末。
ひと1人を健康にするためだけなのに、そこまでのことをしなきゃいけないらしい。
社会と会社のあり方について、色々と思いを巡らす物語だった。

海堂尊の作品は、すべてがリンクしてて、他の作品の登場人物が出てきてたりする。今作でも、白鳥がチラッと出てきてたりして、懐かしかった。
最終的に海堂尊がどういう世界を描こうとしてるのかは謎だけど、1作1作、楽しみにしようと思う。

2013年9月22日日曜日

『白昼の悪魔』アガサ・クリスティー

だいぶ前に読んだ小説だけど、感想書かずに放置してたから書いてみる。

まぁ、このブログ、感想っていうほど大したこと書いてないけど。

エルキュール・ポアロが登場する長編の1作。
地中海の避暑地、スマグラーズ島で、滞在中の美しき元女優が殺害された。
犯人が滞在客の中にいるのは間違いないんだけど、関係者にはアリバイがあって・・・
そんな中、偶然同じ島に滞在していたエルキュール・ポアロが進み出て、華麗に事件を解決する。

俺の将来の夢は、今も昔も変わらず小説家だけど、一番書きたいのはミステリー小説だ。
でも、何度か挑戦はしてるけど、いまだに満足出来るミステリー小説が書けたことはない。
クリスティーの腕を見習いたいなぁと思う。

ポアロのすごさは、その傲慢さというか、自信にあると思う。
ポアロくらい自信を持って物事に取り組めば、どんなことでも達成できそうな気がしてならない。

『解錠師』スティーヴ・ハミルトン

錠開けを生業とする喋らない男が、その半生を綴ったっていうスタイルの、1人称で書かれた作品。

主人公の男は、少年のころ、あることがきっかけで、喋れなくなった。何が起こったかは、小説の公判でようやく明かされる。
その主人公は、高校生の頃に鍵開けの技術を習得して、いけ好かない奴の家に、仲間と共に忍び込んだところ、見つかって捕まった。
その後、鍵開けの技術を見込まれて、犯罪者としての腕を磨いて、初恋の相手、アメリアのため、犯罪者として生きていくことになった。

喋らない主人公だけど、1人称で書かれてるから、常にどういうことを考えてるかは良く分かる。
だから、苦痛を感じることなく楽しく読めた。
これが、3人称の視点で描かれてたら、たぶん要領を得なかったと思う。

今後、会えるかどうかすら分からない誰かのためを思って生きるってなかなか出来ることじゃないと思う。ましてや、そのために犯罪を犯すとか。
そのくらいの決意が出来る相手に、いつか出会えたりするのかなぁ。

2013年9月12日木曜日

『家族ゲーム』本間洋平

ドラマが好みだったから読んでみたんだけど、何だろう・・・分かるような分からないような結末だった。
エンタメ系ではなく、純文学に近いような、そんな感じ。

親に優等生であることを強いられている兄、慎一の一人称の視点で終始話は進んでいく。
ダメな弟、茂之の成績を上げるべく呼ばれた家庭教師、吉本。彼のお陰で無事に高校に合格したのだが、家庭教師がいなくなったあと、また弟は落ちこぼれになっていった。
最終的に、まったく救いがないように感じられる話だった。

結局のところ、外部の力を借りて、一時的には変化できたとしても、家庭そのものに変化が訪れなければ、最終的には元に戻ってしまうのだと、そういうことが描かれている小説なんだと思う。

2013年9月5日木曜日

『万能鑑定士Qの推理劇Ⅳ』松岡圭祐

莉子と小笠原が下の名前で呼び合う仲になった。
っていうことが一番印象的だった。

俺は女性との出会いって実は大抵ネットだっていう根暗な人間だから、割と最初から下の名前で呼んでたりするけど、やっぱりリアルな出会いだと、最初は苗字で呼ぶ感じだし、名前で呼ぶって一大決心だよなぁって思ったりする。

完結編みたいな雰囲気が漂う作品だったけど、果たして続編があるのだろうか。
結構好きな作品だから、もう少し色々読みたいなぁと思う。

これだとどんな話か全然分からないなぁ・・・。
簡単に言うと、万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ、Ⅱあたりで登場した力士シールが莉子が鑑定業を営む店舗の壁一面に貼られる悪戯が起こったことで、莉子が調査に乗り出すというお話。
最終的には莉子の故郷である波照間島で決着が着く。

それほど小説として深いっていうわけではないけど、面白いからお勧めです。

2013年7月30日火曜日

『図書館戦争』1~4 有川浩

図書館戦争シリーズ。
別冊を除けば、

図書館戦争
図書館内乱
図書館危機
図書館革命

の4作品が出てる。まぁ、これで完結するんだけど。
買ったのはだいぶ前だったんだけど、読みたい本がたくさんあって、最近一気にすべて読んだ。

結構前にフジテレビの深夜アニメ枠、ノイタミナでやってたアニメを観て、最近実写映画を観た。
残念なことにアニメ映画は観るタイミングを逃してしまった。

というわけで、原作の小説が、アニメよりも実写よりも遅い、っていうことになってしまった。


話の内容は簡単で、メディア良化法っていう、害のある本は閲覧禁止にしようっていう法律を、武力を持って守らせようとするメディア良化隊に、図書館が武装して対抗する、というお話。
本を読む自由を、世の人々に提供するのが図書館の使命だというわけだ。

もちろんフィクションで、単なる面白い読み物なんだけど、時々、現実的な示唆が入っていて、はっとさせられたりもする。

俺自身本が好きだから、本を守りたいっていう思いは良く分かる。
だから、単なる読み物以上の価値を、この小説に見いだせたりしてるのかもしれない。

いろんな人に読んでほしい、みたいな小説ではないけど、楽しい小説だと思う。
ラブコメ要素も、本筋を汚さない程度に入ってて、それもまた楽しめる部分だった。

2013年7月2日火曜日

『特等添乗員αの難事件Ⅳ』松岡圭祐

派遣の添乗員が事件を解決するシリーズの4作目。

今回は、ミン・ミヨンっていう謎の韓国人美女を追う。浅倉絢奈と同じくラテラル・シンキングを駆使する人物で、電車から豪華客船まで、0円旅行を実現してしまう。
俺は個人的には浅倉絢奈は嫌いだ。なんというか、ギャルっぽい感じが苦手。もう少し落ち着いた女性のほうが好きなんだよなぁ。

恋愛要素が入るのは良いんだけど、最近はちょっとその部分が目立ちすぎてて、読んでて時々辟易したりする。
松岡佳祐の作品は面白いと思うから、ぜひとも、ミステリー色が濃い作品を書いてしまうと思う。

2013年5月7日火曜日

『万能鑑定士Qの推理劇Ⅲ』松岡圭祐

凛田莉子が世界中を飛び回る。

全国の贋作師に、過去を帳消しにするっていう言葉とともに、謎のツアーの招待状が届いた。
凛田莉子に更生すると約束した男もツアーに参加した。
でも、そのツアーが不可解なもので・・・

本筋とは関係ない気もするけど、色んなところを転々として、良くもまぁそんなにお金があるなぁと感心させられる。
一体どこにそんな金があるのか。

最終的には無事に事件は解決するんだけど、新たなる敵も出現する。
これからどうなっていくのか、楽しみだ。

2013年3月28日木曜日

『アナザーホリック ランドルト環エアロゾル』西尾維新

漫画を基に西尾維新が小説を書いた。

元々の漫画がどういう感じなのか、その辺が分からないから何とも言えないんだけど、個人的にはそんなに好きな話じゃなかったなぁ。
なんていうか、幽霊話だ。
あやかしが見える目を持った男が主人公のお話。

やっぱり西尾維新には、自由に独自色の強い小説を書いてほしいって思う。

2013年3月15日金曜日

『特等添乗員αの難事件 Ⅲ』松岡圭祐

派遣の添乗員、浅倉絢奈が活躍するシリーズの3作目。

このシリーズの面白さは、なんといっても謎解きにラテラルシンキングを活用していることだ。
論理的に考えるタイプの人間には思いもよらない方法で、事件を解決に導く。

俺もこの作品に出会ってから、ラテラルシンキングを身に付けようと努力してる。
あんまりメジャーな考え方じゃないけど、いざというときには役に立つ便利な考え方だと思う。
一般的に求められるロジカルシンキング、論理的思考とは違って、ラテラルシンキング、水平思考はズルい考え方だって言われる。
例えば、13個のみかんを3人で分けようとした時に、ロジカルシンキングだと、とりあえず1人4個ずつ分けて、残り1つを3等分、と考える。
一方でラテラルシンキングだと、全部ジュースにして分けよう、とか考える。
受け入れられる人とそうじゃない人がいると思うけど、俺はこういう考えは身に付けた方が良いものだと思う。
ラテラルシンキングに関しては、色んな本が出てるから、色々読んでみよう。

2013年3月11日月曜日

『目薬αで殺菌します』森博嗣

森博嗣の作品、忘れた頃に文庫本が発売する。

新書版なら結構出てたりするんだけど、小説であのサイズは個人的に好きじゃない。
だから俺は文庫本出るまで待ってる。

今回の事件は、目薬αが殺人現場に残されてる。
とりあえず、やっぱり裏には真賀田四季博士の陰が。

S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズ、Gシリーズ、Xシリーズ、すべてが関連してるのは分かるし、ちょくちょくつながりみたいなものが明かされたりはするんだけど、全然全体像が見えない。

全てが明るみに出るのは、果たしていつのことなのやら。
というか、最終的に謎が残ったまま終わる小説もあったりするからなぁ・・・

『悪魔が来りて笛を吹く』横溝正史

横溝正史生誕100周年だか何だかでフェアしてた時に20冊くらい買い集めて、結局まだ数冊しか読めてない。
最近になってようやく集中的に読み始めた感じだ。

『悪魔が来りて笛を吹く』は、死んだはずの男がまだ生きてて、そいつが殺人を犯してるんじゃないのか? みたいな疑惑が最後まで付きまとう作品。
悪魔が来りて笛を吹く というタイトルの音楽もテーマの一つなんだけど、小説だからもちろんどんな曲かは分からない。残念だ。

最近Kindleで本を読むことが結構あるんだけど、Kindleは、登録してる端末をすべて同期させて、最後に読んだページに自動的に遷移する機能がある。
これ、便利なんだけど、1度読み終わった本を、違うページで同期させたりっていう処理が、ちょっと面倒だなぁってことが分かった。

2013年2月20日水曜日

『輝天炎上』海堂尊

海堂尊の最新作、『輝天炎上』
これまでの海堂作品でもちょくちょく登場してた天馬大吉(てんまだいきち)が大活躍するストーリーだけど、前半ものすごく目立ってたのは、天馬よりも冷泉深雪(れいせんみゆき)。「れいぜい」ではなく「れいせん」であることを強調したがる女の子。
前半で魅了された冷泉の出番が、後半それほど多くなかったことが残念だなぁと思うけど、面白い小説だった。過去の色んな海堂作品のことを思い出して、懐かしいなぁと感じたり。また、色々読み返したくなった。

ストーリーの核となるのは、『螺鈿迷宮』で崩壊が描かれた碧翠院桜宮病院の跡地に建てられることになったAiセンターの末路。『ケルベロスの肖像』を違う視点から見せる作品であるとともに、より詳細に作られた物語になってる。

海堂尊の作品は、割と重いテーマを扱っているもののテンポよく読めるから、今の日本の医療がどうなっているのかっていう部分が分かりやすかったりする。監察医制度のあたりなんかはもっと自分で調べてみたいと思ったりもする。
医学、医療について勉強しようと思えたことが、彼の作品に出会ってもっとも良かったことだと自分では思ってる。
今まで、ただ難易度が高い、ステータスのためだけに医学部に進学しようとしてる人たちを目の当たりにしてきて、医学に対して嫌悪感を持ってたりするけど、医学に対して真面目に向き合ってる人もいるんだっていうことを知ることが出来た。
中学生の頃は自分も医者になりたいと思ってたけど、当時の感覚を思い出すことが出来た。

賛否両論あったりもするけど、海堂尊の作品は全部お勧めしたい。

2013年1月25日金曜日

『万能鑑定士Qの短編集 Ⅱ』松岡圭祐

凛田莉子が主人公の、人が死なないミステリー、万能鑑定士Qシリーズの、短編集第2弾だ。
個人的には人が死ぬ作品も結構大好きなんだけど、死なないのも悪くはない。

色々な品を鑑定しながら、事件を解決する凛田莉子にはいつも感心させられる。
論理的に考えることは大切なのだなぁと感じたりする。

2013年1月18日金曜日

『グーグル ネット覇者の真実』スティーヴン・レヴィ

Kindle paperwhiteを買って一番最初に読んだ本。

Googleのインサイダー情報が豊富に盛り込まれてて、Googleが、まだGoogleではなかった頃の話なんかも取り上げられてる。
創業者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンの2人が、ネットの世界についてどんな考えをもっているのか、これからGoogleをどのような企業にしていきたいのか、そういうことがよく分かる本になってたと思う。
Googleに少しでも興味を持ってる人なら、読んで損はないと思う。

余談だけど、Kindle、使いやすい。
電子書籍を利用するならKindleだってずっと思ってて、他の端末やソフトは使ったことがなかったんだけど、Kindleなら、積極的に利用していきたいと思う。

2013年1月15日火曜日

『64』横山秀夫

横山秀夫は、デビュー作の『半落ち』の頃から好きだった。

今回の作品は、1週間しかなかった昭和64年に起こった事件を巡って、警察内での内部抗争が繰り広げられる。
2013年版のこのミステリーがすごい! で国内版第1位になったりしてる。
最初から最後まで暗い雰囲気だったけど、こういう作品、個人的には大好きだ。

暗い話が好きな人は読んでみると良いかもしれない。