2014年4月29日火曜日

『囮物語』西尾維新

千石撫子に驚いた.

脇役中の脇役だと思ってたんだけど,全然そんなことなかった.
最後にはラスボスみたいになってたし.

月日の思いっきりの良さというか向こう見ずなところというか,そういう部分は見習いたいなぁと思ったりする.
言いたいことをハッキリ言うっていうのは,簡単そうで案外難しく,人のことを気にもとめてないような自分でも,それなりに容赦,手心を加えてしまうことが多い.

自分の行いに自分で責任を持てないっていうことは多々あるけれど,自分の行いはきちんと直視しなければいけないと思う.

『花物語』西尾維新

神原駿河が語り部となって展開されるストーリー.

ただの変態じゃないのは知ってたけど,じゃあ,具体的にどういうふうな考えを持って生きてる人物なのか,っていうと,今まで全然知らなかった.
それが明るみに出たストーリーだった.

猿に祈った神原と同じような,鏡に写った自分のように描かれている沼地蝋花.
でも,似てるだけで,全然似てなかったりする.

必死で生きてる神原が格好いいって思った.

2014年4月24日木曜日

『傾物語』西尾維新

2日間で通勤途中に一気に読んだ.

西尾維新の話は,面白かった,でたいてい終わるんだけど,今回は,色々と考えさせられてしまった.

運命っていう言葉は大っ嫌いで,自分がやりたいようにする,生きたいように生きるっていうのを信条にはしてるけれど,でも,やっぱり運命っていうものを考えざるを得ない時っていうのはたまにある.

そのたまに考える運命が,この物語の主題だった.

八九寺真宵を助けようとするだけで,とんでもないことが起こったという物語.
さながらバタフライ効果のように,小さなことが,とんでもなく大きな出来事のきっかけになっていたと,そういう物語.

過去も未来も,きちんと平等に大切にしようと思った.

2014年4月23日水曜日

『猫物語 白』西尾維新

『猫物語 黒』以前の記事がこのブログにないっていうことは,読んだのが,それだけ前だっていうことだから,『化物語』から再度読みなおそうかと思ったけど,面倒くさいからやめた.

ずっと阿良々木暦の一人称で語られてきた物語が,ここに来て初めて羽川の視点で語られた.
作者いわく,元から予定されてた本じゃなくて,いわば第二期の始まりらしいから,まぁ,そういうこともありなのかなぁと.

読みたい本が沢山あって,物語シリーズも,数ヶ月に1冊ペースでしか読めてなかったけど,とりあえず,あと半年のうちに終物語まで読破しようと思う.


さてさて,羽川翼さん,虎を生み出してしまったという物語だった.
闇があってこその人間なんだって思うと,その闇もひっくるめて,きちんと受容出来るだけの器を持たなきゃって感じた.
まぁ,そういう真剣に考える物語でもないのかもしれないけど.

2014年4月20日日曜日

『陰陽師 蒼猴ノ巻』夢枕獏

まとめ買いした『陰陽師』シリーズの3冊め.

今出てる中では最新刊だ.

『首をかたむける女』っていう作品が,個人的に一番おもしろいと感じた.数ページの超短編なんだけど,その中で,源博雅のキャラがきちんと確立されてた.

夢枕獏は格闘技ものとかも書いてたりするけど,そういうのは好みじゃない.

やっぱり,ゆったりと時間が流れる平安の世が一番良い.

2014年4月15日火曜日

『いかにして問題をとくか』G. ポリア

言わずと知れた名著,『いかにして問題をとくか』.
これまで数学に多くの時間を費やしてきて,なんとなく実践してたことは結構あった.
でも,それが具体的にどういう作業なのかを系統立てて理解することが出来たし,どの程度威力を発揮するものなのかを知ることが出来た.

1.問題を理解する.
 未知のもの,与えられているもの,条件は何か.
 条件は,未知のものを定めるのに十分なものか.
 図を書く.記号を導入する.
 条件の各部を分離する.

2.データと未知のものとの関連を見つける.関連が分からないなら補助問題を考えつかないか.

3.計画を実行する.

4.得られた答えを検討する.

分かりきったことではあるけれど,色々な場面に通用するヒューリスティックな方法を提供してくれている,という点で,非常に有用な本だと思う.

2014年4月14日月曜日

『陰陽師 酔月ノ巻』夢枕獏

今作は,蘆屋道満が大活躍だった.

ホームズにはモリアーティ.
明智小五郎には怪人二十面相.
江戸川コナンには怪盗キッド.
金田一一には地獄の傀儡師.

時には敵に回り,時に協力者となる.
やっぱりシリーズ物に宿敵は欠かせない.

安倍晴明に対するそれは,蘆屋道満だと思う.


晴明よりも蘆屋道満の方が目立ってた気がする.

あとがきによると,このシリーズは25年を迎えるらしい.
自分が生きてきた年月と同じだ.

生まれる前に書かれた物語も,今まで結構読んできた.
生まれたあとに書かれた物語も,大切な思い出だ.

2014年4月13日日曜日

『陰陽師 醍醐ノ巻』夢枕獏

夢枕獏の『陰陽師』シリーズ.
新刊が何冊か出てたのは知ってたけど,ほかに読みたい本が結構あって,後回しにしてた.

数日前に,読んでない3作品をまとめ買い.
今日,1冊目を読み終わった.

道端に捨て置かれてる赤子を,急いでるからといってスルーしたり,良く分からない光景が描かれてたりして,やっぱり時代が違うのかなぁと思ったりもするけど,その反面,女のことでトラブルに巻き込まれる男は,やっぱりいつの時代も同じなんだなぁと思ったり.

特別印象的な作品があるようなシリーズではないんだけど,面白い.

「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになったのであった。

という,決まった流れも安心できる.

2014年4月11日金曜日

『確率論と私』伊藤清

日本における確率論の礎を築き,伊藤の公式で有名な伊藤清のエッセイを,彼の没後,娘さんがまとめた本だ.岩波書店から出版されている.

伊藤清がどういう考えで伊藤の公式を編み出したか,とか,自分の研究が金融の世界に影響を及ぼしていることに対してどのような思いを持っているか,どか,色々と知ることが出来た.

応用に目を向けてはいたけれど,あくまでも数学者として,であって,経済や金融の世界に自分の教え子が身を投じるのは不安でならなかった.という話は,非常に印象的だった.

ところどころ専門的な話が出てきて分かりにくい部分もあったけど,面白かった.

2014年4月2日水曜日

『鼠(ねずみ)鈴木商店焼打ち事件』城山三郎

ようやく読み終わった.

会社の人におすすめされて読んでみた本だ.

読み始めたのは半年くらい前.今の自分にはすべてを理解するには少々厳しいような感じがした.

素直にすごい!! って思ったけど,よくわからない部分もあったから,また少し経ってから,改めて読んでみようと思う.


話の内容としては,かつて日本を代表する財閥の一つであった鈴木商店について.
金子直吉を主人公に据えて,米騒動をきっかけとした鈴木商店への焼き討ちの真相に迫る,という半ば調査記録のような,ノンフィクションの小説のような感じの話だった.

三井,住友,三菱などは,もちろん知ってる.
でも,鈴木については全然知らなかった.
この小説だけで寿々木商店について語るわけにはいかないと思うけど,そういう存在について知るだけでも価値があったと思う.

先見の明と,計画力,実行力というのは,やはり企業を作っていく上で大切なのだと感じた.