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2015年5月22日金曜日

『おまえさん』宮部みゆき


そこそこの長編だったけど、全然長さが気にならないくらい面白かった。
とは残念ながら言えず、信之輔のせいで、途中、非常にイライラした。

帯に、「これは、恋愛小説です」と書かれていて、どんな感じの内容なのか、非常に楽しみだったんだけど、確かに、恋愛がキーワードになってた。

おでこの生みの親や、夜鷹や、生薬屋の娘に、同心・間島信之輔。たくさんの人々の恋愛話を聞かされて、非常に疲れた。

でも、そんな中でも弓之助、やっぱり揺らぐことなく、バシッと謎解きを実行。
『ぼんくら』、『日暮らし』ときて3作めのこのシリーズ。もはや弓之助は名探偵だ。
頭が切れる少年とかいうレベルを超えて、完全に、謎解きを期待される役回りになってる。
この年で、この役回りは辛いだろうなぁと思いつつ、やっぱり読者の立場で、弓之助の活躍を期待してたりもする。

弓之助は言った。

「世の中に起こるすべての出来事が、仮に因果の糸――因果律で結びついているとするならば、物事の見え方が変わってくるということでございます」

「本音なんて、みんな幻でございますよ」

因果律の話はなんとなく理解は出来たけど、本音は幻だとか言われると、なんだかなぁ、夢も希望もない。

間島信之輔の縁戚、本宮源右衛門の発言も紹介。
「何をどうしたらいいかわからぬときは、学問するのが一番よろしい」
悩める青少年に伝えたいメッセージだ。
そして、私自身にも身に覚えがあるメッセージだった。

平四郎は、弓之助を評して

「講釈師、見てきたような嘘をつき」

と言っているが、私も、そのくらいリアリティのある話作りが出来れば、自分の小説家という目標も、近い将来実現できるんだろうなぁと思う。


ひとまず、ぼんくらシリーズは全て読み終わったということで、続編の発売を期待しよう。



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おまえさん 上

おまえさん 下

2015年5月10日日曜日

『日暮らし 上・下』宮部みゆき

『ぼんくら』に続いて、『日暮らし』も読んでみた。

『ぼんくら』の感想はここに書いてるから、良かったらどうぞ。

今作は、『ぼんくら』と同じように、最初に数編の短編があり、その後、「日暮らし」という長い長い章に突入するという構成になっている。
パッと見の構成こそ同じだけど、その組み立て方は全然違う。
解説の言葉を借りると、

「『ぼんくら』では、一見すると無関係に思えた冒頭の短篇が、次第に一つに繋がっていくダイナミズムがあったのに対し、本書は一話完結の短篇の中に長辺部分の伏線が張り巡らされており、後半になるとパズルのピースが嵌まるべきところに嵌まって意外な絵を浮かび上がらせる驚きがある。」

だから、最初は、このストーリーは、後半どんな風に絡んでくるんだろうと考えたりしてて、どうやら直接は無関係なんだ、ということに気付くまでに少し時間が掛かった。

長編、「日暮らし」は、佐吉が母親の葵を殺めたという事件が起こり、佐吉が捕まったことから始まる。

湊屋の力でもみ消されたけれど、本当は佐吉がやった、ということで落ち着いているため、冤罪を晴らす目的で平四郎が甥っ子の弓之助とともに事件を解決に導く。
そう言うと平四郎が事件を解決に導くみたいだけれど、実際のところ弓之助が中心だっていうところが面白いと思う。

相変わらず弓之助が冴えに冴えまくってる。これでおねしょしなければなぁ・・・

どんなにきれいに字が書けても、所詮は真似事で自分の字を書く人には劣る、と話す弓之助に感心させられた。

『ぼんくら』では測量大好きだった弓之助、『日暮らし』では測量をやめて、測れないものに目を向けようとし始めたらしい。
どんどん成長していく弓之助が、今後どうなっていくのか楽しみだ。

次は『おまえさん』を読もうと思う。



うーん、色々書いたけど、内容がない。
まぁ良いや。

2015年4月27日月曜日

『ぼんくら 上・下』宮部みゆき

ぼんくらな同心、平四郎と、その甥、弓之助が活躍するシリーズ。
宮部みゆきの時代劇ミステリーだ。

大好きな女性に勧められたから、もともと宮部みゆきの小説は好きだったし、読んでみた。

とにかく弓之助が良いキャラだなぁと思った。

「世の中を計るというのは、とても面白いことでございますよ。計れば、ものとものとの距離がわかります」

なんていう、当たり前のことを言う。

「距離がわかって……何になる?」

と平四郎が問えば、

「ものの有りようがわかります」

と切り返す。
大げさだって思ったけど、この返答は面白いなぁと思った。

小説の構成が独特で、最初は、短編集かと思うんだけど、途中から、1編1編が、あとあとの話につながってきてるんだ、ということが分かる。

誰のための事件なのか、っていう部分が、正直なところいまいちよく分からなかったりもした。動機がしっくり来ないというか・・・
でも、ストーリー自体は面白いと思う。
おくめさんが死んじゃったのは残念だったなぁ。

『日暮らし』『おまえさん』も引き続き読んでみようと思う。

2014年10月10日金曜日

『ソロモンの偽証 第Ⅰ部・第Ⅱ部・第Ⅲ部』宮部みゆき


『ソロモンの偽証』三部作.面白くて一気に読んだ.

第Ⅰ部は,事件が起こり告発状が送られて,マスコミが騒ぎ立て,その結果新たな死者を生み出すことになってしまった事件の全体像が描かれてる.藤野涼子が学校内裁判をしようと決意するところで終わっている.それぞれの出来事を,それぞれがどういう風に捉えたのかがしっかりと描かれてて,前向きな藤野が微笑ましかった。


第二部は,学校内裁判を開こうと決意し,その開催までの各自の奮闘がメイン.途中である程度の結末は分かったけれど,それでも目が話せなかったのは,彼が,どういう気持ちでいるのかが気になったから.すべてを理解した上で,何を求めようとしているのかが分からなかったから.

第Ⅲ部.学校内裁判での一部始終が描かれてる.


作品全体を通して,アマゾンの評価は様々だったけど,私自身は満点を付けたい.
自分の中学生時代を思い返してみて,今までの自分の人生を振り返って,神原弁護人の気持ちが痛いほど良く分かる.だからこそ,自分の未来について今一度考えてみようと思ったりもした.

宮部みゆきがこの作品で描いたのは,友達を死なせてしまった少年の苦悩だ.
そこから伝わってくるメッセージは,月並みだけど,友達の大切さと,赦し,贖罪かなぁ.

存在自体は知ってたけど,すぐに読もうとは思わなかったんだけど,映画化されることを知って,読んでみようと思った.
きっかけとしてはその程度なんだけど,このタイミングで読めてよかったと思う.