2014年7月19日土曜日

『アクアマリンの神殿』海堂尊

今作は、『モルフェウスの領域』でスリーパーだった佐々木アツシが主人公。

佐々木アツシが目覚めてから、少し後の物語。
アツシのメンテナンスを担当していた日比野涼子が、今作ではスリーパーになってて、そのメンテナンスをアツシが行ってる。

海堂尊の作品に出てくるゲーム理論の研究者、曾根崎伸一郎が結構好きだ。
ゲーム理論研究してるからってそんなコメントしないだろうという発言が結構多い。でも、示唆に富む発言が多くて、なるほどなぁと思う。

「闘わず、勝たない。それが最上だ」

とか。まぁ、根拠というか、理由がないから、正しいのかどうかも分からないし、実際的な振る舞い方にまで影響を及ぼすような発言でもなければ、そもそもパーソナリティに左右されるような領域についての発言のような気もするから、ただ、味わい深い発言だ、という程度の認識ではあるけれど。

ゲーム理論は興味持ってる分野だから、きちんと理解したいとは思ってるんだけど、色々な方向に興味持ってたら時間がない・・・

凍眠をして、4年間の空白を持つ少年を中心に話が回って、エンターテインメントとして楽しむと同時に、自分の人生を生きるっていうことと、過去の大切さについて考えさせられた。
学園モノとしても、そこそこ楽しく読めると思う。

グイグイ引っ張っていくような女性が海堂尊の作品には結構多いけど、そういう女性に注目してしまうっていうことは、自分自身、やっぱりそういう女性が好きなのかなぁと感じたりもした。

2014年7月7日月曜日

『暗殺教室 1 - 10』松井優征

『暗殺教室』の1巻から10巻をまとめて。

月を破壊して、来年の3月には地球も破壊すると宣言する怪物が教師としてやってきた。
生徒は、卒業までに担任を殺すことを目標に掲げている。

この作品、大好きだ。
著者はどうして、こんな風に、胸に刺さる言葉を沢山用意できるんだろうと感心する。

例えば、

「第二の刃を持たざるものは・・・
暗殺者を名乗る資格なし」

「女子の方があっさりカッコイイ事しちゃっても それでもメゲずにカッコつけなきゃいけないから つらいよね男子は」

最初のフレーズは、最近尊敬する知り合いからも似たような話を聞いた。今を一生懸命生きるのは大切だけど、それだけじゃダメだと。もし、目の前のものが突然なくなったら、どうなるんだろうって。
だとすれば、やっぱり、第二、第三の選択肢は持っておく必要があるんだと思う。
それは決して逃げではなく、保険。積極的に攻めるための、後ろ盾なんだと思う。

最近グッと来たフレーズは、単行本にはなってなくて、2014年31号のジャンプ、暗殺教室第97話に出てくるフレーズ。

「自分の一番得意な一撃を相手の体制が整う前に叩きこむ」

なるほどなって思った。
別に、暗殺じゃなくても話は同じで、だから、どこで、どんな風に勝負をするか、ひいては、仕事をするか、どんなふうに生きるか、真剣に考えなきゃ行けないんだと思う。

2014年7月6日日曜日

『刀語 5』

虚刀流七代目当主、鑢七花と、尾張幕府直轄預奉所戦軍総監督、奇策士とがめの刀集めの物語も中盤に差し掛かって、少しずつ、少しずつではあるけれど、ただの刀だった鑢七花の意識に変化が生じ始めていると感じる、そんな1冊だった。

薩摩にて、賊刀『鎧』を収集する今作。

相手取る鎧海賊団船長の校倉必が、とがめに惚れたと言ったものだから、七花が無意識に嫉妬するという面白い場面も見られた。

自らを、一本の刀だとしか思ってこなかった七花が、ここに来て、初めて、刀であると同時に人間であるということを明確に意識した。

それで、どんなふうに変わるのかは良く分からないけれど、でも、何かは変わるんだろうなぁと、そんな予感がする一場面だった。

それから、七花が姉の七実の言いつけを忠実に守って心に秘めてきた隠し事。今作の最後の最後で、とがめに対して明かしてしまった。
言っていいことと悪いことが世の中にはあるけれど、墓場まで持っていかなければいけないだろう2つの隠し事を、これまでひたすらに秘めてきたにも関わらず、いとも簡単に白状してしまったことが驚きだった。

アニメを見てからだいぶ日が経ってる。
色々と忘れてる展開もあるんだなぁと、読んでて思った。