2013年11月13日水曜日

『ガンコロリン』海堂尊

海堂尊の新作、『ガンコロリン』。
たぶん初めての短編集なんじゃないかと思う。
いつも通り、突拍子もないストーリーの中で、リアルな問題提起をしてる。

個人的に一番考えさせられたのが、完全な健康体を作り出す国家プロジェクトに選ばれた男を描いた『健康増進モデル事業』という作品。
男1人を健康にするために、健康に悪いということで、小言を言う上司を国家権力で首にして、その男はどんどん昇進。でも、そんな無茶がいつまでも続くわけもなく、最終的に会社を辞めることになり、会社も潰れたという結末。
ひと1人を健康にするためだけなのに、そこまでのことをしなきゃいけないらしい。
社会と会社のあり方について、色々と思いを巡らす物語だった。

海堂尊の作品は、すべてがリンクしてて、他の作品の登場人物が出てきてたりする。今作でも、白鳥がチラッと出てきてたりして、懐かしかった。
最終的に海堂尊がどういう世界を描こうとしてるのかは謎だけど、1作1作、楽しみにしようと思う。