2015年2月19日木曜日

『C.M.B. 28』加藤元浩

『キジムナー』
沖縄の精霊、キジムナーにまつわる一作。
ある男にはキジムナーが付きまとっている。このキジムナーは、一般的に伝えられているキジムナーとは姿形が変わっていて、彼が見張っているせいで、男は嘘がつけない。
キジムナーは、嘘をつくと殺して食ってしまうらしい。
彼の想像するキジムナーがなぜ変わった姿をしているのか、その理由を様々な事情をきっかけとして解き明かしていく。
成長っていうものの、1つの側面を見せてくれる作品に仕上がっていると思う。

『空き家』
刀の鑑定をして欲しいと依頼されて、ある老人が住む家を訪れた。
実は、この家は、もともと持ち主が別の人物だった。
「人が入れ替わったのに近所の人 よく気が付かなかったね」と言う七瀬立樹に対しての榊森羅の言葉が印象的だった。
「え? そう? 近所の付き合いのない人が入れ替わったとして 気付く自信ある?」
若いのに、色々な知識、経験があるだけあって、核心を突いていると思う。
ストーリー自体がどういうものかをここに記すつもりはないけど、近所付き合いが疎遠になっている現代社会に対して警鐘を鳴らす作品のように感じた。

『ホリデー』
上、下からなる2話構成。
紛争中の国に対して、安全保障理事会に停戦命令を出してもらおうと、常任理事国との駆け引きをする場面を描いた作品。
交渉の材料が刺激的だし、言葉遣いも巧み、カマの掛け方も絶妙だ。
こういう交渉力が欲しいなぁと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿