2015年2月16日月曜日

(再読)『幻惑の死と使途』森博嗣

S&Mシリーズの6作目。

マジシャン、有里匠幻がイリュージョンの最中にナイフが胸に刺さって死亡しているのが発見された、というところから、今回の事件は始まる。

『夏のレプリカ』と同時期に起こった事件ということで、この作品は奇数章だけから構成されている。
もちろん、『夏のレプリカ』は偶数章だけから構成されている。

現象が同時に起こったとしても、言葉にするとどうしても直列になってしまう、ということが、このような構成にした理由らしい。
確かに、と関心した。同時に生じた事象を説明するときでも、どうしても順番にならざるを得ない。

初読の際には気づかなかったことだけど、Vシリーズの主要キャラの1人、加部谷恵美が今作で初登場している。まだ中学生で初々しい。

この作品で面白いと感じるのは、犀川が一番最後に語る解釈だ。有里匠幻とは何者だったのか、というところ。こういう考えは、実際にはなかなか出てこないことだと思う。フィクションならではだ。

ちなみに、6作目にして西之園萌絵が事件の真相を警察に説明している。
成長を感じられる1作だ。

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