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2015年3月6日金曜日

(再読)『有限と微小のパン』森博嗣

S&Mシリーズの最終作。
最初の作品、『すべてがFになる』の英語タイトルは、

"THE PERFECT INSIDER"

それに対して、今作、『有限と微小のパン』の英語タイトルは、

"THE PERFECT OUTSIDER"

この対比だけで、個人的には十分面白い。

この2つの英語タイトルは、真賀田四季の立ち位置を表してる。
完全に内部者、関係者であった『すべてがFになる』に対して、完全に外部の存在である『有限と微小のパン』。
終わってみれば、物語の中で、真賀田四季ほど外側にいた存在はいなかった。

Gシリーズ、Xシリーズまで含めて考えてみても、森博嗣の作品の大部分は、真賀田四季を中心として動いているような感じがする。

引き続き、KindleでVシリーズを読み進めて行こうと思う。

2015年2月25日水曜日

(再読)『数奇にして模型』森博嗣

S&Mシリーズ9作目。

何が一番印象に残ったかと言えば、大御坊安朋だ。
肝心のストーリーは、評価に困る。
面白くないわけではないけれど、改めて読んでみて、やっぱりつまらないなぁと感じた。

こんなやついるわけない、と思わせることで容疑者にならないようにしている、というのが最大のトリックなんだけど、うーん・・・

2015年2月16日月曜日

(再読)『今はもうない』森博嗣

S&Mシリーズの8作目。

内容を全然覚えていなくて、読み始めて、なんだこれは、という感じがした。
一人称で記述されてるんだけど、「私」は、笹木という男。

真相を理解したときに感じたのは、叙述トリックとしては微妙なのではないか、ということ。

ただ、作品を通して理解できたことがあるとすれば、西之園萌絵と佐々木睦子は良く似ている、という事実。
この2人が似通った人物だったからこそ、このトリック、もとい作品が出来上がったんだと思う。
あと、今まで全然話に出てこなかった佐々木知事がどのような人物なのかが分かって楽しかった。

(再読)『夏のレプリカ』森博嗣

S&Mシリーズの7作目。

『幻惑の死と使途』に描かれた事件と同時期に起こった事件、萌絵の親友、簑沢杜萌が遭遇した事件が描かれている。

『幻惑の死と使途』と同時期に起こったという理由で、今作は偶数章のみから構成されている。『幻惑の死と使途』は奇数章だ。

萌絵が真相に気づく場面が印象的だった。
チェスのゲーム運びがきっかけになるわけだけど、ゲームの戦略というのは、人の考え方を色濃く反映するものだと思うから、ここから真相を導くというのは、一理あるのかな、という感じがする。

犯人を主体とした描写をして、その主体が犯人とは気付かれないように記述する、というのは、結構な難易度のスキルだと思うんだけど、それが成功しているかどうかは、正直なところ良く分からなかった。

(再読)『幻惑の死と使途』森博嗣

S&Mシリーズの6作目。

マジシャン、有里匠幻がイリュージョンの最中にナイフが胸に刺さって死亡しているのが発見された、というところから、今回の事件は始まる。

『夏のレプリカ』と同時期に起こった事件ということで、この作品は奇数章だけから構成されている。
もちろん、『夏のレプリカ』は偶数章だけから構成されている。

現象が同時に起こったとしても、言葉にするとどうしても直列になってしまう、ということが、このような構成にした理由らしい。
確かに、と関心した。同時に生じた事象を説明するときでも、どうしても順番にならざるを得ない。

初読の際には気づかなかったことだけど、Vシリーズの主要キャラの1人、加部谷恵美が今作で初登場している。まだ中学生で初々しい。

この作品で面白いと感じるのは、犀川が一番最後に語る解釈だ。有里匠幻とは何者だったのか、というところ。こういう考えは、実際にはなかなか出てこないことだと思う。フィクションならではだ。

ちなみに、6作目にして西之園萌絵が事件の真相を警察に説明している。
成長を感じられる1作だ。

2015年2月4日水曜日

(再読)『封印再度』森博嗣

S&Mシリーズの一作。

今回は、結論を言ってしまうと、おそらく自殺だろう、という話で終わるんだけど、自殺の方法が秀逸だった。
常温で液体である金属の存在は知ってるけど、通常は個体だけど融点が100度よりも低い金属の存在は、正直なところ知らなかったから、勉強になった。

2015年1月29日木曜日

(再読)『詩的私的ジャック』森博嗣

なんとなく、東野圭吾の『容疑者Xの献身』に通じるものがあるんだけれど、でも、全然違う。

『容疑者Xの献身』と比べると、ある意味で、もっと真面目な動機で人を殺してるし、ある意味ではもっと狂ってる。
ただ、人を殺す理由としては、割と健全だと思うのは、私だけだろうか。

私の祖母が、余命3ヶ月だと宣告されたらしい。
余命宣告されたところで、きっちり宣告通り死ぬかどうかなんて分からないけれど、少し思ったのは、他者に殺されるのと、老衰を含む身体的な異常で死ぬのだと、どっちが幸せなんだろう、ということだ。

この作品の殺人者は、たぶん、殺されることと身体的な異常による死との差異を認めていないんだろう、と思う。
そういう精神を理解できると思ってたんだけど、どうやら私にはまだ理解できない、ということが今回の出来事で判明した。

2015年1月22日木曜日

(再読)『笑わない数学者』森博嗣

あんな話し方をする数学者がいったいどれだけいるのか、って思うけれど、ちょっとしたジョークとしてなら、自分自身もたまに使うフレーズだったりする。
ただ、やっぱり誇張されすぎだ。

この作品に出てくる、ビリヤード玉の問題が個人的に気に入っている。
条件が少し緩いかなぁって感じるのと、問題としてつまらないと感じるから、少しだけ条件をきつくしてみると・・・

円形に5つの自然数を並べる。
各自然数と、隣り合う複数個の自然数の和を用いて、1,2,3,・・・と、1から順番に連続する自然数を作っていく。
こうすると、最大いくつまでの自然数を作れるか。
たとえば、円形に並んだ自然数の一部が
-1-2-
であれば、1,2,1+2=3の3つの数が作れる。

これを、証明付きで解答するっていう問題を過去に別の場所で出題されて、少し悩んだ覚えがある。

ちなみに、この小説は、舞台となる建物の構造が面白くて、初めて読んだ時から気に入っている作品。プロ目線で言うと、建築基準法違反らしいけれど。

2015年1月16日金曜日

(再読)『冷たい密室と博士たち』森博嗣

数年ぶりに読んだ。
やっぱり、知識を身につけると味方が全然違うんだなぁと感じる。

犀川や萌絵、喜多、ひいては森博嗣の思考回路が面白い。

与えられた問題をどうやって解くべきか、という姿勢の話になるけれど、出来るだけシンプルに、矛盾なく説明をしていくというその流れは、広く役に立つものなんじゃないかと思う。

事象が突飛であれば突飛であるほど、何かとんでもないことが起こったんじゃないかと考えがちだけれど、実は、そうでもなかったりする。素直に、筋が通るストーリーを構築できれば、それが正解だということが多い、というのが、この小説から受け取るべき教訓なのかもしれない。

たぶん、森博嗣はそんなこと全然考えてないんだろうけれど。

2015年1月9日金曜日

(再読)『すべてがFになる』森博嗣

学部1年生の頃に初めて読んだ作品。
今持ってる本をすべてKindleで買おうと思ってる。で、最近買ったのがこの作品だ。『すべてがFになる』。

ドラマは観てないんだけど、観てない人間として批判すると、タイトルが『すべてがFになる』だったこと。
これは、作品の一つであって、シリーズの名前ではないし、もちろん、探偵の名前でもない。
インパクトがあるからタイトルに採用したんだろうけど、『すべてがFになる』以外の作品もドラマで作られただろうから、そのあたり、なんか違和感を感じてムズムズする。

最初に読んだ時と比べて、コンピュータ用語をきちんと理解できるようになってた自分に驚いた。前職での1年半のプログラミング経験も無駄ではなかったらしい。

10進法で1から10の数字を考えると、7が孤独だ。他のどの数とも互いに素だから。
一方、16進法を考えると、7は孤独ではなくなる。E、すなわち14があるから。16進法で孤独なのはBとD、つまり、11と13だ。
そういう感じの話が、この小説のキーワードになってる。

面白かった。
小休止して、『冷たい密室と博士たち』に進もう。