第零章にあるように、
「これは、ひょっとしたら実ったかもしれない、小さな恋の物語だ。」
たぶん、253ページで、匂宮出夢の
「お前、僕のこと、好きか?」
という問いに対して、零崎人識が、一言、
「好きだ」
と言えば、あの悲劇は起こらなかったんだろうと考えると、悔しさが募る。
あの一言が、出夢と人識の関係を破綻させてしまった。
もちろん、未来の人類最悪と出会った時点で関係の破綻は避けられなかったと見る向きもあるんだろうけれど。
それにしても、人殺し、しかも、世界が四分の一ほどひっくり返るような、そんな途方もない人殺しの依頼の理由が、一冊の本を読みたかったということだとは・・・
理解できなくもないと思ってしまう自分が怖い。
少なくとも、本当に成し遂げたいものがあれば、手段は選ばない気がする。
西尾維新が描こうとしたものは、たった数ページ、ないしは数十ページに収まるものだ。
でも、そこに説得力を持たせるために、200ページ以上を費やしてる。
描きたいものがあって、どれだけそれに説得力を持たせられるかっていう勝負をしているのが小説家なんじゃないかな、と私は勝手に思ってる。
こういう小説に対してこういう評価を下すと有識者から文句を言われそうだけど、この本は、小説の手本として分かりやすいと思う。
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